[REPORT]報告・セミナー第29回(2022年11月12日)

〈NPO法人Education in Ourselves 教育を軸に子どもの成長を考えるフォーラム〉による「発達の遅れ」連続セミナー[実例から知る、「発達の遅れ」が気になる子どもの教え方]第29回[Sくん(中1)の努力が彼の力を伸ばし、みんなの意識を変えた](*)を11月12日(土)、埼玉県川口市の川口駅前市民ホール フレンディアで開催しました(報告/知覧俊郎)。

 

 *2022年度赤い羽根共同募金(埼玉県共同募金会)助成事業 後援 : 内閣府、文部科学省、厚生労働省、埼玉県、さいたま市、川口市、埼玉県教育委員会、川口市教育委員会、蕨市教育委員会、草加市教育委員会、越谷市教育委員会、北区教育委員会、豊島区教育委員会、足立区教育委員会、荒川区教育委員会、我孫子市教育委員会、埼玉県社会福祉協議会、川口市社会福祉協議会、埼玉県医師会、埼玉県小児科医会、埼玉県看護協会、全日本私立幼稚園連合会、全国私立保育連盟

【概要】

 

▶︎テーマ

Sくん(中1)の努力が彼の力を伸ばし、みんなの意識を変えた

 

▶お話(体験発表) 中1の母親Sさん

▶進行・解説と質疑応答 河野俊一さん(エルベテーク代表/医療法人エルベ理事)

▶日時・場所 11月12日(土) 9:30〜12:00 川口駅前市民ホール フレンディア(埼玉県川口市川口1-1-1)

▶参加者 50名(保護者約40名、教育関係者8名、保育関係者1名、福祉関係者1名、その他 埼玉県、東京都、神奈川県、千葉県、群馬県、栃木県、長野県に在住の方々)

▶参加費(資料代等) 1,500円

 


 

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 このセミナーには特別支援学級の担任など教員の方も多数参加されるようになりましたが、申し込み時や終了後のアンケートに興味深いコメントが多数見られます。前回(第28回)のセミナーでは、ある教員の方がアンケートに次のようなコメントを書かれていました。

 

「発達障害と診断された子が教育によって大きく伸びていくということに驚かされました。兄弟を抱える両親のご苦労に頭の下がる思いです」

 

「幼児期からの適切な教育が『発達の遅れ』を抱える子どもを変える」という事実。これこそこのセミナーで共有したい最大のテーマですが、教員にとってはっきり理解されているわけではないことがよくわかります。

 

 他に、「保護者との連携という点では、うまくいっているケースよりも苦慮していることの方が多いです」、「普通学級の中で、発達に課題を抱える子どもたちを含めた学級経営、学習指導の在り方など、悩んでいる先生方が多いのが現状です」という率直なコメントもありました。

 

 実は、今回、体験発表をされた母親Sさんは「発達の遅れ」をもつ長男と12歳上のお姉ちゃんの母親ですが、お姉ちゃんは昨年から特別支援学校の先生として働いています。弟の努力する姿、そして一生懸命に関わりをもった両親の姿を「自分の家族の問題」として間近で見てきただけに、期するものがあったようです。今回のテーマ「みんなの意識を変えた」はこうした背景も踏まえたものでした。

 

 いま子育て真っただ中の保護者の方にリアルな話をしていただくことが重要だと思います。「本当に大切なこと、信頼を寄せるべきことは何か」が活き活きとしたエピソードとともに、保護者はもちろん学校関係者などにも幅広く理解してもらえるのではないかと考えています。

 

 子どもへの接し方や家庭学習の進め方、学校と保護者の連携・協力、家族間同士の協力、そして共働き夫婦の役割分担など、興味深いテーマがたくさんあると思います。みなさんの参考にしていただけば幸いです。

 

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共働き夫婦による現在進行形の子育て

 

 セミナーの冒頭、母親のSさんは自己紹介とともに、自身の子育ての過去と現在について謙虚に語り始めました。

 

「家族構成ですが、主人は夜勤交代など交代業務のある製造業。私はつい先日までは金融の営業職として土日出勤の勤務もあったりして、残業でだいぶ遅い時間まで働いているような仕事から、いま職務のほうが変わってきている状態です。

 今回、このセミナーをお受けするべきか正直、大変迷いました。と申しますのは、このセミナーでは課題を克服したお姿を保護者の方が振り返るような成功体験をお聞かせいただいていたもので、私も息子の未来に期待を抱きながらも、そのお話の中から『ここはこうやらないといけないな』ということを必死で書き留めてやってきたわけです。

 ただ、今の息子は中学1年生になりましても課題は山積みです。正直、皆様に成功体験をお話しできる自信がございません。しかし、私のありのままの様子ややってきて良かったこと、反省していること、いま感じている未来の不安など、少しでもこれから学年が上がっていくお子様の参考になれば幸いです」

 

 同時に、「息子は明るく素直に育っておりまして、学校が大好きな中学校1年生です」という言葉が語られましたが、そこにSさんの自信と手応えも感じられました。

 

 終了後のアンケートに「同世代の子供を子育て中ですので、すべてが共感です。今日、すばらしい内容のお話が聞けて、私たちもまた今日から頑張ろうと思いました」など保護者からの共感のコメントが多数書かれていました。Sさんの報告が報われたような気がします。

 

指摘を受け入れ、前向きな気持ちと行動へ

 

 さて、幼児期の様子ですが、母乳もよく飲みよく寝てにこにこ笑っていた赤ちゃん。そんな息子さんが1歳2ヶ月の時、Sさんは育児休暇から仕事復帰するタイミングに合わせ、知り合いの保育士がいる保育園へ通わせました。そして、2歳8ヶ月になった時、その保育園の先生から「健康診断を担当した先生からかかりつけの先生に受診を勧められました」という連絡がありました。

 

 「発達の遅れ」を保護者へ伝えることについてエルベテーク代表の河野俊一さんが補足説明をしました。

 

「教育関係者や保育関係者の方とお話しする機会がありますが、『発達の遅れ』を指摘したり伝えたりするのにひじょうに勇気がいるとのことです。おそらくその保育園の保育士の方もSさんへ『発達の専門医に診てもらったほうがいいですよ』と一言おっしゃるのさえずいぶん悩まれたと思いますよ」

 

 やがて保育園から健康診断の結果が知らされましたが、Sさんは「言葉は遅いかも。でも、1月生まれだし、男の子だからかな。指示に従えないけれど極端ではないし……」と一人でとらえていたそうです。

 

 受診したかかりつけ医からは、2つの質問をされました。「二語文、三語文は話せる?」と「ここで待っていられる?」。Sさんの答えは2つとも「いいえ」でした。そんなに重要な質問ではないと思ったSさんは帰りに寄った図書館で子どもの発達に関する本を可能なかぎり借ります。仕事の都合で1週間の休暇中ということもあり、それらの本に目を通しました。インターネットでも情報を集めました。

 

 調べるうちに特有な癖や傾向を知ります。しかも、それがわが子にあてはまるものばかり。ペットボトルなどの物を一列に並べたり、呼びかけには応じない、視線がなかなか合わない、横目で見て歩いたり、など。「まさか、うちの子が……」と大きなショックを受けました。

 

 そして、「これは受け入れないとだめだな。受け入れないと前へ進めないな」と考えたそうです。「将来、『あの時、あんなふうに思ったけれど、なんともなかった』と思ったら笑い話になる。だけど、手遅れだったら……。いまからすぐ対策を練ろう」と考え、市の発達相談へ出かけることに。市の発達相談では療育を勧められ、翌月から通い出しました。

 

 このエピソードで興味深い点は、辛い指摘だったものの、Sさんが周りの指摘を受け入れたこと。そして、その指摘を「だから仕方がない」と諦める言い訳にしてしまうのではなく、「いまからすぐ対策を探ろう」と前向きな気持ちと行動へ切り替えたことではないでしょうか。

 

経済的な負担と遠方からの送り迎えを乗り換えて

 

 療育に通い始めましたが、1カ所は集団の中で手遊びやかけっこするといった対応、もう1カ所もパズルをしたり運動をしたり。息子さんの課題が改められるとは思えない状況にSさんは疑問を感じます。

 

「こんな本があったよ」。ある日、ご主人が1冊の本を買い求めて教えてくれたのでした。新聞記者でもある父親が自閉症のわが子について書いた本です。葛藤と期待の中で模索するその父親の姿にSさんは感動し、エルベメソッドに関心を寄せました。

 

 本を読んだSさんとしては、なんとしても教室(エルベテーク)に通わせようと思いましたが、ハードルをいくつか感じました。ひとつは交通費と指導料の費用面。娘さんが通う学習塾の授業料を参考に支出可能な金額を割り出して検討したそうです。そして、信越地方に住むSさんにとって首都圏に出かける機会は年に1回あるかないか。遠方から定期的に送り迎えができるのか、という迷いがありました。

 

 悩んだ末、家族4人一緒に教室へ出向き、先生の指示に反応できない息子さんの様子にはらはらしながら相談しました。その時の気持ちについてSさんはこう振り返りました。

 

 「想像していた以上に課題があることがわかりました。そして、先生の話が終わったあと、『この子は訓練していけば、必ず成長はできます』というアドバイスが決断の理由となりました」

 

 費用面の懸念についてSさんは次のように納得したとのことです。

 

 「『大学へ行くまでに子ども一人に1000万円かかるとしたら、その費用を先行投資しよう。いま、小学校へ行けるのかどうかわからない状態だから、いまにかけよう』ということで教室に通う決断をしました」

 

 季節は1月。真冬です。こうして、毎週、朝早く起きて新幹線で送り迎えする日々が始まりました。ご主人が休みの時には車と高速道路を使って送り迎えします。「最初に学習の姿勢を身につけたい」という思いで3ヶ月間毎週通ったあと、隔週送り迎えのスタイルとなりました。

 

「課題を直すツールが学習」という発見

 

 モチベーションを持続させているポイントは、やはり、学習によってわが子が大きく変わり始めたこと。Sさんは振り返ります。

 

 「最初にびっくりしたのは、きちんと『気をつけ』の姿勢で先生の目を見て『おはようございます』『よろしくお願いいたします』。そして、後ろを向いて、『お母さん、言ってまいります』……。家でもそんな丁寧な言葉を使ったことがないのに、驚きました。それから、『どうぞ』と言って、書類を渡すことも教えていただいたんですけれども、一コマ80分という授業時間に私は『大丈夫かな』と思いましたが、1回目こそ先生から『最初はちょっと泣きましたけれども、あとは大丈夫でしたよ』と言われ、次の学習からは何事もなかったように普通に受けていました。『あ、3歳の子でもできるんだ』と思いましたね」

 

 変化の兆しが見えてくるにつれ、息子さんの力をなんとか伸ばしてあげたいと強く思うようになったとのこと。当初、Sさんは教育や学習について見くびっていたところがあったそうです。「小さい3歳の子に数字やひらがなの学習に意味があるのかな」という気持ちが強かったのです。その気持ちを正直に教室側に伝えたこともありました。学習の積み重ねとともに、以前の気持ちは次のように変化していきました。

 

「集中力を継続させるとか、指示を理解して行動するとか、視線をそらさないとか、数字を書く学習は手本を見ていないと手本通り書けないわけです。息子の課題を直すツールが学習だと腑に落ちました」

 

「学習に意味がある!」とSさんは確信したのです。河野さんが説明を加えました。

 

「私どもの教室では子どもが2歳であろうが3歳であろうが、文字や数字を読んだり書いたりという学習をやっています。なぜかといえば、最後まで見続けることが一番大事なことであり、その練習をするためにこんな良い教材はないからです。私たち教える側にも子どもの到達レベルがわかります。最後までしっかり見ていたからSくんは筆順も字形も手本をまねて書けるようになったわけです」

 

 教室からのアドバイスに従い、家庭でも独り言がある時には「口を閉じます」と伝え、苦手な5W1Hを意識させながら文章づくりなどの練習を続けました。

 

普通学級入学後、トラブル続きの学校生活

 

 就学時健康診断のあと、小学校の教頭先生と支援の先生は保育園でのSくんの様子を見学していましたが、小学校入学に際してSさんは改めて「指導上配慮していただきたいこと」をまとめたレポートを提出し、面談することに。学校側との面談では、保育園を見学した先生からSくんが保育士の指示を聞いて頑張っている様子が報告されました。

 

 評価を得たと感じたSさんはすかさず、Sくんがひらがなや数字を書け、足し算もできる事実を伝えるとともに、全体への指示が通りにくいことやコミュニケーションが苦手なことなどについて支援をお願いしたのです。その結果、普通学級への入学となりました。入学後はトラブル続きでしたが……。

 

「1年生の時は、連絡帳を3冊書いていただきました。それだけ書いていただかなければならないほどたくさんあったんだなと思います。毎日、『これができません』『こういうことをしました』と細かく連絡いただきました」

 

 たとえば、勝手に鍵を閉めたり水道の蛇口を開けたり、無断で校長室に行ったり。連絡帳の内容がどのようなものであっても、Sさんは「担任は30人以上の子どもを見ているわけですから、書いていただけることに感謝しようと思いました。『ご連絡ありがとうございます。家でも引き続きこのように指導いたします。よろしくお願いいたします』」と考え、謙虚な姿勢で対応したとか。

 

 音楽会のエピソードがSさんの記憶に残っています。当日の演奏で周りに迷惑をかけないように、事前に家族みんなで舞台に立つところからピアニカの練習までを繰り返しました。その練習のおかげで、クラスの友だちからも評価されたのでした。

 

朝学習という、共働き家庭の工夫

 

 2年生になると、担任が変わりました。ところが、その担任からは長い間、連絡帳が返ってこないため、学校での様子もわかりません。4月末、家庭訪問があった際、Sさんはコピーした1年生時の連絡帳を担任へ渡し、課題を共有しようと試みました。

 

「大丈夫でしょうか」とSさんは訊いたそうです。担任からは「確かに最初の頃はやっていたな。だけども、(Sさんから)もらったレポートみたいに目を見て『締めません』とちゃんと言えば、もう締めていないよ」という返事。特別支援学校での指導経験がある担任だったそうです。

 

 Sさんは驚くとともに安堵しました。その先生は3年生の時も担任。Sくんも次第に学校生活に慣れていきます。

 

 家庭学習では朝学習を取り入れ、成果を上げていました。

 

「入学して本格的な学習になった時に、私は仕事だけでも遅いですし、夜の時間がとれないんですね。時間をつくらないことには宿題ですらまともにできない。提出物だけはきちんと出そうと心に決めていました。先生に見せられる唯一のこちらの誠意と思っているんですね。

ということで、学習は朝にしようと決めました。5時半から6時半、この1時間でエルベテークと学校の宿題をやります。たまたま、うちの息子は『起きます』と言うとパッと起きてさっと『勉強する』と言ってくれるので、そこは意外に楽でした」とSさん。

 

 宿題の意味について河野さんからの補足説明です。

 

「いま、宿題をやっていない子ども、いい加減にやったままの子どもが少なくないようですが、宿題は家庭での学習習慣をつくるためにあるわけです。Sくんの場合、習慣になっているということなんです。やらないと気が済まないんじゃないですか」

 

 日記の習慣も定着しました。2年生の時から作文練習の一環として長期休みに日記を書き始め、4年生の頃からは毎日の習慣に。そして、5年生になると、国語力のカバーをめざして日記の片方のページに新聞記事の要約を書かせる工夫も取り入れました。

 

「宿題やテストでも『書き抜きなさい』という問題が出てくるんですけれども、文集の中からせめてこれぐらいは抜き書きできるようにというチャレンジですね」とSさん。4年生の時には試験を経験させるとともに達成感を味わわせたいと考え、漢検も受けさせました。

 

中学生になってからの戸惑いと努力

 

 中学校進学後は新しい環境ということもあり、学校生活に戸惑うことも。それまで経験のなかった学生服とシャツを着用。体育の授業で着替える際、ボタンの着脱に手間取ったりします。また、クラスの女の子との距離感が不適切な場面があり、それに気づいたSさんはストレートに「女の子にはそういうことは言いません」と伝え、厳しく対処しているとのことです。

 

 家でのエピソードですが、使っていたシャープペンシルをSくんが放り投げて壊した際には、Sさんがそのままにせず「ものを大切に扱うこと」を伝えると、Sくんから「僕が悪かった」という言葉が返ってきたとのこと。子ども自ら「してはいけないこと」を少しずつ教わることはとても貴重な機会です。

 

「ああだこうだと説明するのではなく、簡潔に『してはいけない』、ダメなものはダメと教えていくと子どもにとってひじょうにわかりやすい。理由は関係ありません」と河野さんは伝え方のポイントを指摘しました。

 

 さて、冒頭で触れたように、「正直、皆様に成功体験をお話しできる自信がございません」と話したSさんは最後に、これまでの子育てを振り返りました。

 

「息子が中学生になり、小さい頃から課題を克服するために指導を受けながら継続する学習というのはひじょうに意味があったなと思います。簡単な数学のテストで満点をとって、私はびっくりしました。式もきれいでした。家では怒っていても、やるべきことはちゃんとわかってやっているんだなと思いました」

 

 Sさんはこれからの期待についてこう述べます。

 

「この努力や本人のやる気がここから先の結果に結びつくと信じて、いまは親子共々で努力する時期なのかなと思っています」

 

 体験発表のあと、事前にいただいていた質問に対しSさんが次のように回答した場面がとても印象に残りました。「個性や特性を受け入れることと相容れないのでは?」「(学習は)子どもにとってハードルが高いのではないか?」といった質問への回答です。

 

「多動とか不適切なことも個性・特性なので受け入れるという意味の質問かと思いますが、私の息子の場合、個性・特性の良い面は明るくて人間が好きで、歴史に興味があること。それを活かすのは大事だと私も思います。でも、マイナスの個性・特性(多動、癇癪など)ならば、将来、残される息子が生きやすくなるためにそれはきちんと修正してあげたいと思います」

 

 Sさんの毅然とした言葉を聞き、その場しのぎの情緒的な言葉に振り回されることなく、改めるべき課題は何なのかをしっかり把握しているからこそわが子への接し方にブレがないのだと強く感じました。

 

 そして、Sさんは「他人なら私もそれでいいと思います。でも、自分の子だから……」という言葉も口に。他人事にはけっしてできない、自分の子どものことだからそのつもりで関わる……、この覚悟にすべてのポイントがあるように思います。

 

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【参考 アンケート】(全部で37通。その一部を原文のまま紹介します)

 

●保護者の体験発表についての感想-1「日頃、子育て・教育で気になっていることは?」の回答

 

・就学前の保護者の声

 

「発語の遅れ、嫌なことがあると手が出る」(3歳の保護者)

「子供と周囲とのコミュニケーションがうまくとれるようになるか」(3歳の保護者)

「特例子会社でジョブコーチをしているが、療育→支援学校を経て入社した子の多くが基本的なことを身につけられていないことが多い。しかし、エルベで学んだようなことを指導に取り入れたり、丁寧に見てあげるとできるようになる。「この子はこういうことは苦手な特性」とまわりがあきらめてそのままにしてしまった弊害ではないか。「多様性を受け入れる」という流行は「苦手なことをそのままにする」となっていることがあるような気がする」(5歳の保護者)

「まだまだがまんできない所がたくさんあり、泣いてしまいます。外でのイライラをためて家で発散するような事がありますので、注意していきたいです」(6歳の保護者)

「周囲の子に全く興味がなく、コミュニケーションも難しいが、普通級に行って大丈夫か不安」(6歳の保護者)

 

・小学生の保護者の声

 

「学習の習慣がなかなか、身につかない」(小3の保護者)

「・学習面での遅れ ・コミュニケーション(同世代の子と)が難しい」(小3の保護者)

「ゲームをする時間が増え、生活が不規則になりつつある」(小4の保護者)

「集団生活での友達との関わり、グループでの学習、意見を出し合う、国語力」(小4の保護者)

「成長とともに同級生と精神的・身体的なレベルの差が出てきてしまう。本人の自信喪失につながらないか、不安を感じている。何かと自信をつけてほしくて、親子供頑張っている日々です」(小5の保護者)

「学習の他に、絶えず物事に興味・関心をもってチャレンジする姿勢をもってもらうようにするには、どうしたらよいか?」(小6の保護者)

 

・中学生の保護者の声

 

「3才のとき自閉症と診断されましたが、学習習慣や受け応えはできるようになってきました。このまま、学生生活は、送ることができるかなと見通しがたってきましたが、就労が心配です。就労のために何をすべきか、このまま今すべきことの積み重ねで良いのか知りたいです」(中1の保護者/教育関係者)

 

・教育関係者の声

 

「担任は児童の様子を保護者にはっきりと伝え改善すべきことを同じ気持ちで取り組む」

「不登校と発達障児との関係性について心配しています(教師の不適切な指導)」

 

●保護者の体験発表についての感想-2「特にどの部分に共感されましたか?」の回答

 

・就学前の保護者の声

 

「お母様のお子さんの課題に対する向き合い方、学校との信頼関係づくり、いろいろなことを実践していく行動力に励まされました。私自身も子供と向き合い、親が子供の成長をあきらめずに子育てしたいと思いました」(3歳の保護者)

「目を見てキッパリと注意する 時間を作ってたずさわること」(5歳の保護者)

「子供の対応のし方がすばらしい 参考にしたいことばかりでした」(5歳の保護者)

「Sさんの子供に対することに感心しました。あきらめずに対応すること、課題を定めて一つひとつ努力していくこと。「我が子ということ」感心します。「この子に必要なこと」だと思うこと」(5歳の祖父)

 

・小学校の保護者の声

 

「直すツールが学習ということ」(小3の保護者)

「・出来ること、出来ないことの見極め ・注意のしかた」(小3の保護者)

「お母様の明るさや、こうしてみようとすぐやってみる行動力がすばらしいと思いました。お子様の改善にもつながっていったのだな、と思いました。発達障害児を育てていると気持ちが沈みがちですが、前向きな気持ちで学習の習慣を続けていこうと思います」(小3の保護者)

「お母様が覚悟を決めてお子さんに対応している事」(小4の保護者)

「Sさんのお母様との学校の先生とのかかわりについて勉強になりました」(小4の保護者)

「学習する、続けることは、勉強だけではなく、生活全体につながる 我慢すること、集中するから目を向ける 課題を克服すること」(小4の保護者)

「Sさんの担任の先生から毎日連絡帳にできなかったことの報告があったとのことですが、私も先生に会うたびに失敗したことやパニックを起こしたときの状況ばかりを報告されます。ありがたいとは思いますが、時にはできること楽しんでいることも報告してほしいなぁ……と感じました」(小5・小2の保護者)

「お子様の世代が近いため、また同じく共働きでもあり、家庭の学習について、(大変さ)共感できた」(小5の保護者)

「グレーゾーンという判断、レベルの見極めが難しい事例で、とても参考になった」(小5の保護者)

「同世代の子供を子育て中ですので、すべてが共感です。今日、すばらしい内容のお話が聞けて、私たちもまた今日から頑張ろうと思いました」(小6の保護者)

 

・中学校の保護者の声

 

「保護者が覚悟決める大切さ」(中1の保護者)

 

・教育関係者の声

 

「小学校入学時に、担任の先生からの「ダメ出し」。それに耐えながら、親子で頑張る姿。課題のある子に寄り添えないダメ教師。この構図が今の学校現場の姿です。子どもがよくなるわけがありません。ダメ教師を指導できない管理職がほとんど。公立学校の課題です。情けないです」

「継続して学習支援には効果があるということ。たくさんのケースを聞いてみたいです」

「ハードルが高くないか、との質問に対して、講師の保護者が「他人だったらそれでいい」と言われたこと。子のために、何が必要かを見極めていけば、やるべきことがみえてくるはずと思いました」

「個々の具体的課題はそれぞれに異なっても、学ぶ姿勢を育てることが本人自身の力を生かせることにつながっていくことを感じました。学ぶことで育つ力の大きさを感じます」

 

●保護者の体験発表についての感想-3「『子育て(指導)のために役立ててみよう』と思ったことはなんですか?」の回答

 

・就学前の保護者の声

 

「・家庭学習の時間づくり、習慣づけをさせること ・学校との信頼関係づくり ・文章の練習→息子も質問と違う答えが返ってきたり、文章を組み立てることが苦手なので、家庭での学習方法はとても参考になりました」(3歳の保護者)

「・日記をかく ・新聞のきじを要約する ・漢検を受けていく ・ローマ字入力をできるようにする」(5歳の保護者)

「“目をみて”言葉をかけることはまだ私ができていないので、努力します」(5歳の保護者)

「・日記や新聞記事による文章の練習、漢検の話。・クラスメイト・担任の先生の対応の仕方」(6歳の保護者)

「・漢検や新聞の切り抜き ・目を見てきっぱりと注意する 先生との協力の仕方 ・着替え ・ローマ字入力 ・思春期になった時の人との距離感」(6歳の保護者)

 

・小学生の保護者の声

 

「交換条件を出さず、ダメなものはダメ、やるべきことはやるという指導法」(小2の保護者)

「先生とのコミュニケーションのとり方や考え方」(小3の保護者)

「・家庭でも目をあわせて指示、目をみてきっぱり注意する ・新聞を利用して要約(国語力をつける) ・「言いません!」など簡けつに(説明をダラダラしない)」(小3の保護者)

「早く起きて、勉強時間を作ろうと思いました」(小3の保護者)

「家庭での学習、新聞の記事の感想や書き抜き問題 漢検 中学を見すえた学習ということで、ぜひ取り入れたいと思いました」(小4の保護者)

「・早起きして朝学習 ・毎日日記(新聞活用) この考えはありませんでした。私も仕事が忙しく、仕事から帰って宿題をみると寝る時間がとても遅くなっていました。「起きます」の声かけで起きれるようになってほしいです」(小5・小2の保護者)

「改めて“目をみて指示”をやってみたい。徹底してみたい」(小5の保護者)

「息子は来年中学生になるので、学習方法・内容等が非常に参考になりました。ぜひ息子の学習にも取り入れたいと思います」(小6の保護者)

 

・中学生の保護者の声

 

「国語の勉強で新聞を切りぬいての学習は是非やってみたいと思いました」(中1の保護者)

「ダメなときは、きっぱりと子どもに厳しい顔で「しません」と端的に言うこと」(中1の保護者)

「目をみて話す。いかりのばあいは、ユーモアをまぜて、おちつかせる」

 

・教育関係者の声

 

「集団の中で生活するには、他の人のことを考え、してはいけないことは「ダメ」とはっきり言うこと」

「交換条件を出さない」

「読み書きを集中の維持と視線を定めていくための手段として行っていること」

 

●保護者の体験発表についての感想-4「教育・療育の現状についてのご意見・提言をお聞かせください」の回答

 

・就学前の保護者の声

 

「普通級と特別支援学級の違いの大きさに不安と懸念を感じています」(3歳の保護者)

「医師の面談では、現状の診断で支援学校と言われた。まだ期間があるので、どこまで努力で支援学級にいかれるかを考えています。まずは、言葉がでてくるようにと願っております」(5歳の保護者)

「支援があれば普通級の授業も受けられる子も多いと思うので、普通級と支援級の間のようなクラス(普通級に行く為のクラス)があると良い」(6歳の保護者)

 

・小学生の保護者の声

 

「エルベテークに通い始めてから、1年4ヶ月になりますが、当初全くできなかったごあいさつができるようになってきました。教育を与えていくことの大切さを実感しています」(小2の保護者)

「・無理をさせない・してはいけないことをしても、発達障害があるからしょうがない、となりがちだと思います。やるべきことはやる、してはいけないことは障害の有無関係なく、いけないということを教えるべきだと思います」(小3の保護者)

「発達障害があっても過ごしやすい居場所を考える、その子なりの…という療育が多い気がします。こちらのエルベでは、努力する、改善する、きちんと教育する、できることを学びました。もっと、こちらの考えが、広がれば良いなと思います」(小4の保護者)

「市からすすめられる療育では、色分けをするだけで、具体的にどうしたらよいのか何のアドバイスもありませんでした。その子その子に合わせた具体的なゴール(着地点)を決めた対応をしてほしかったです」(小4の保護者)

「5年生ですが、通級は毎年先生が変わり、担任も4人目です。おおくの先生に見ていただいていますが、子供への共感と、向上させようという意欲を感じない(口だけの)先生もいてレベルの差があり、毎年、“当たり”か“ハズレ”を心配している」(小5の保護者)

 

・中学生の保護者の声

 

「子どもに関係する人たちの連携が足りない。その子にとって、今一番何を身につけさせることが必要であるか、子どもと関わる人たちと擦り合わせ、統一する機会・時間が足りていない」(中1の保護者)

 

・教育関係者の声

 

「無理しなくていいよ、教室にいられなかったら出ていいよ。よく耳にすることばだが、私はそれをさせてしまったらいけないと思う」

「学校が課題を抱える児童生徒に対して適切な指導・対応ができていないのが大きな課題です。文科省の問行調査での不登校児数は24万人の現状です。年々、激増。喫緊の課題であると捉えています」

 

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 第29回も感染防止対策に気を配りながら無事に開催することができました。

 

 埼玉県内、東京都内、千葉県内の10の教育委員会の後援名義を受け、また埼玉県内、東京都内、千葉県内、神奈川県内の教育委員会約40の協力も得て、各地域の小中学校、幼稚園などにチラシを配布しました。福祉関係、医療関係、保育関係の各団体から後援をいただきました。

 

 ありがとうございました。

 (報告/2022年12月26日 知覧)

撮影 知覧)

■次々回(第31回)

 

[テーマ]

どの子にも学ぶ力がある!

幼児期からの効果的な教育を語る

 

[プログラム]

パネラー(シンポジウム)

 Mさん(高3の母親) 保護者の立場から

 

 

 

Hさん(社会人) 当事者/子どもの立場から

進行と解説

 河野俊一さん(エルベテーク代表/医療法人エルベ理事)

 

[日時] 2023年2月25日(土) 9:30〜11:45(受付開始9:30〜)

 

[会場] 川口総合文化センター リリア(埼玉県川口市川口3-1-1)

 

[定員] 100名(保護者、教育・療育関係者、医療・福祉関係者、市民など)

 

[参加費](資料代等) 1,500円

 

*コロナ禍の状況次第で、日時・定員等の変更の可能性があります。