[REPORT]報告・セミナー第26回(2022年6月25日)

〈NPO法人Educationin Ourselves 教育を軸に子どもの成長を考えるフォーラム〉による「発達の遅れ」連続セミナー[実例から知る、「発達の遅れ」が気になる子どもの教え方]第26回[問題行動が多く、読み書きもできなかったわが子への教え方 「2学期から特別支援学級へ」と告げられてからの親の努力-2](*)を6月25日(土)、大阪市中央区の大阪産業創造館で開催しました(報告/知覧俊郎)。

 

*2022年度ヤマト福祉財団福祉助成事業 後援 : 内閣府、文部科学省、厚生労働省、大阪府、大阪市、埼玉県教育委員会、大阪市教育委員会、箕面市教育委員会、大阪府社会福祉協議会、大阪市社会福祉協議会、大阪府医師会、大阪小児科医会、大阪産婦人科医会、大阪府看護協会、大阪府私立幼稚園連盟、全国私立保育連盟


 【概要】

 

▶︎テーマ

問題行動が多く、読み書きもできなかったわが子への教え方

「2学期から特別支援学級へ」と告げられてからの親の努力-2

 

▶お話(体験発表) 大学4年生の母親Mさん

▶進行・解説と質疑応答 河野俊一さん(エルベテーク代表/医療法人エルベ理事)

▶日時・場所 6月25日(土) 午前の部10:00〜12:00 午後の部13:00〜15:00 大阪産業創造館 会議室E(大阪府大阪市中央区本町1-4-5)

▶参加者 午前の部 52名、午後の部 40名(保護者約30名、教育関係者約10名、保育関係者5名、福祉関係者4名、その他 大阪府、京都府、兵庫県、奈良県在住の方々)

▶参加費(資料代等) 2,000円(連続参加の方は3,000円)

 

 

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 第26回は、3年ぶりに大阪市内での開催となりました。開催にあたりより多くの人に求められる内容にしたいと考え、講師には母親のMさん(保育士)にお願いすることにしました。このセミナーでは昨年12月に続き、4回目の登場です。

 

(1)現在、大学4年生であり、小さい頃(小学1年生)から続けた学習の成果(学習面だけでなく生活面なども含む)が具体的によくわかること

(2)成長のキーポイントとなる家庭での個別学習の様子、学校との連携・信頼関係づくりの大切さが具体的によくわかること

(3)社会に巣立つ際にどのような力・性格が求められ、実際、これまで学習を通してどのような力・性格を身につけているかが具体的によくわかること

 

 Mさん親子の成長記録はこうした内容が盛り込まれた貴重なものとなっています。

 

 ところで、このセミナーに参加された、小2の子どもをもつ保護者である教育関係者の方がセミナー終了後のアンケートに次のような切実なコメントを書かれていました。

 

「『子どものあるがままを受け入れましょう』『この子には無理させない方がよい』だけではなく、子どもが社会に出ていく時に本人が幸せであるために、きちんと基礎学力をつけさせてあげる方法論を保護者にももっと学ばせてほしい」

 

 近年、インクルーシブ教育のかけ声のもと、「発達の遅れ」を抱えたまま普通学級で学ばせようという動きが注目されていますが、先延ばしされてしまう問題(授業についていけないままの子どもは自らの課題・弱点を乗り越える機会を失い、やがてクラスの中で孤立した状態になりやすい、など)があり、その問題にどのように向き合えばいいのかというヒントがMさんの報告にあるように思われます。

 

 やはり、「子ども自身の力をつける」という視点こそ必要であり、今後もこのセミナーの中心に据えていきたいと考えています。

 

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普通学級に入学したものの……

 

 母親のMさんによると、Mくんは3歳ぐらいまでは手のかからない子どもで、Mさんの働く保育園に通っていたものの、産休・復帰を境にした4歳手前ごろから様子が変わったとのこと。集団の中で立ち上がったり、外へ出て行ったり、保育園で目立つ存在となりました。

 

 不安になったMさんはリハビリセンターを受診。「高機能自閉症」、「ADHD」と診断され、年中から作業療法士や臨床心理士の指導を受けることに。しかし、目に見える改善の効果は感じられないまま、就学前の2月、教育委員会から特別支援学級を勧められました。その際の対応について、Mさんはセミナーでこう話しました。

 

「突然のことだったので、心の準備ができていませんでした。職場で相談したり、知り合いの先生にアドバイスをいただいたりして、『いまはリハビリセンターに通っているので、1学期間は普通学級で見てほしい。課題があれば、その時に相談させてほしい』と校長先生に直談判しました」

 

 しかし、落ち着きがなく、周りの友だちとトラブルを起こしたり、コミュニケーションがとれないなどの状態が続きます。そして、夏休みの個人面談の席で担任から「運動会の練習に参加するのが難しい。2学期から特別支援学級へ」と言われてしまいます。この時点でMくんは数がよくわからず、指を使って足し算をし、また、読めないひらがながたくさんあり、ほとんど文字を書けない状態だったのです。

 

 夏休みに入り、Mさんが1年生の簡単なドリルに取り組ませようとしても、Mくんはできません。心配になったMさんは発達関係の本や情報を調べます。その時、『発達の遅れが気になる子どもの教え方』という本に出会い、衝撃を受けました。

 

「指導の仕方や子どもの事例、経過が書かれていて、いままでの本とはまったく違っていました。当たり前のことをやらなければいけないなど、保育士として指導に魅力を感じたんです。読みながら結果がどうなっていくかが目に見えてきたので、うちの子どもにも指導を受けさせたいという思いが強くなりました」

 

大人も釘付けになる指導法

 

 すぐに親子3人で相談に出向きました。「それまでのリハビリセンターでは、子どもが離席しても注意せず、『いいよ、それで』という感じでした。エルベテークでは80分座っていられたことに驚きました。ちゃんと先生のほうを見て学習していました。いままで見たことがなかった姿で、私も釘付けになりました」と振り返るMさんです。

 

 この時、エルベテークの河野俊一さんは指導者として、子どもの課題、特にまずそこから改めなければならない課題を見過ごしませんでした。

 

「私たちが彼を見て思ったことは、先生の目を見て最後まで黙って話を聞くことができていないこと。そして、形をとらえるのが苦手ということ。鉛筆の持ち方も筆順も自己流なんです。数字もひらがなも好きなように書いている。そんな状態では学習が大変になります。自己流ではなくて、筆順を守る、字形を整える、そうしたルールや手順をきちんと彼に教えていくことが必要だと感じました」

 

「子どものペースに合わせて」といった指導法の対極だと言えますが、Mさんが求めていたものは学び方から教えてくれるこの指導法でした。

先生の目を見て話を聞く練習から始まります。目がそれたら『目を見なさい』『いまはこうします』と指摘します。鉛筆の持ち方、文字の手本を見て見比べる練習を徹底するエルベメソッドとの出会いとなりました。

 

 こうして、夏休み期間、教室で80分の学習を4回行い、そして家庭学習を継続するという、現在の学習を中心にした生活スタイルの基礎がつくられ始めました。ご主人も交代で協力してくれました。

 

「ドキドキしながら子どもを学校へ送り出したんですけれど、2学期が始まってから1週間ぐらいの時に担任から電話が来まして、『座っている姿勢が急によくなりました。なにかしましたか?』と言われたんですね。『とりあえず、2年生になるまで普通クラスで様子を見ていきましょう』と」

 

 Mくんのこの変化は大人との関わりの中で「こういうふうにするといい」と子どもながらにわかった結果だと思います。

 

できたことに対してほめる、姿勢が崩れる前に注意する

 

 ただし、学習にはまったくついていけない状態だったので、学校から帰るとまずエルベテークの宿題にとりかかり、終わったら学校の宿題を済ますという流れでMさんは学習習慣の骨格をつくっていきました。

 

「教室の先生たちの指導を見て、ポイントだけ、たとえば丁寧に書くことが目的なら『丁寧に書きます』と言って、丁寧に書けた時に『できたね』と言葉で評価することにしました」

 

 子どもにとってわかりやすい手短な指示を出す、注意をする→できなければ、できるようになるまで促す→それができた時にできたことに対してほめる……、この一連の関わり方をMさんも身につけ始めていました。

 

「やってしまったあとだとなかなか軌道修正ができなかったので、そろそろ集中が切れて姿勢が悪くなってきた瞬間に言葉をかけ、姿勢を正したら『それでいいんだよ』とほめるようにしました」

 

 筆順を守らなかったりマスをはみ出したりして書いた文字についてはMさんが消しゴムで消し、書き直しさせることもありました。

 

「泣き叫ばれ、怒られ、『かわいそうだな』と思いましたが、『投げてはいけない』と思ったので、やり続けました。そのうちに子どものほうも『これはまずい』と思うものは自分で消すような姿勢に変わっていきました。やり続ける大切さを私も気づくことができたと思います」

 

 河野さんは「不適切な言動をする前にいかに止めるか、つまり、やらなかったという実績をどれだけ積み重ねるかということが大事なところではないでしょうか」とポイントを補足しましたが、1年生の夏休み以降、家庭でどのように接し、教えたらよいのかについて教室からの具体的なアドバイスがMさんの心強い味方になってきたことは言うまでもありません。

 

「発達の遅れ」をもつ子どもについて「小さい頃からできないことをあれこれ言われ続け、自信をもてていない」としばしば言われますが、「できたことに対してほめる、姿勢が崩れる前に(それを察して)注意する」といった接し方・教え方へ切り替えることによってより確実な指導効果を生み出すことができるのではないでしょうか。

 

九九の学習が自信を生み、周りの評価を変えた

 

 担任の応援を受ける形で2年生になったMくん。九九の学習に取り組んだことが大きな自信になりました。「二桁の足し算がやっとの子だったので、九九の理屈はわからず、覚えられませんでした。『とりあえず暗記しよう。理屈は後からついてくる』とアドバイスを受け、他の子が10分で終わるところを1時間、2時間とやりました」とMさんは話しました。

 

 地道な繰り返し学習の結果、九九を覚えることができました。そして、それを評価してくれた担任から「かけ算博士」という賞状までもらうことになりました。Mくんの自信、そして周りの子どもたちのM君に対する興味・関心が大きく変わりました。それ以降、友だちが近づいてくることが増え、昼休みにサッカーに誘われることも増えたのです。

 

 そして、家庭訪問の際には、担任から「家でどんなことをやっているのか知りたい、と校長先生から言われました」との言葉が……。Mさんは努力が報われたような気持ちになりました。「担任の先生だけでなく、校長先生もちゃんと見てくださっていることが私にとってはすごく力にもなりましたし、子どもにとっても良い方向へ進む兆しを感じた時期です」とMさん。

 

 いっぽうで反省点もありました。友だちができたことを嬉しく思ったMさんは、いつしか友だちとの遊びの時間のほうを優先させてしまっていたのです。Mくんは次第に約束の時間が守れなくなり、宿題への切り替えもできなくなりました。それまで継続していた習慣があっという間に崩れ、軌道修正するのに1年ぐらいかかったそうです。

 

 Mさん親子の努力は続きました。小学5、6年生になると、国語、算数などの科目は最低評価のCだったものの、成績は上がり始め、Mさんは「周りの子どもたちに追いついてきたかな」という心境に至ります。

 

 何事にもへこたれずに取り組むという習慣・性格が身につき、中学生になると、誰に言われたわけでもなく自らリビングに教材を持ってきて学習を続けました。「平日だと3時間は学習していましたね」とMさんは振り返りました。

 

 中学校・高校生活では少しずつ力を発揮していきます。3年生の頃には苦手な英語も5の評価を受け、志望校の受験が視野に入りました。結局、第一志望の公立高校に合格・入学。高校では、友だちにも恵まれ、積極的に生徒会に立候補するなど積極的になり、また、学習面でも飛躍を遂げました。毎日行われた漢字と英単語の豆テストは1年間満点で、これは約250人の全生徒中一番だったそうです。成績は10番前後で、2番になったことも。

 

 大学は推薦で入学。返済不要の給付型の奨学金があることを自ら調べて知り、応募し、筆記試験と論文・面接を経て合格。現在、自炊しながら、しっかり勉強してリモート授業をこなしています。就職活動ではすでに4社から内定をもらい、すでにそのうちの1社に就職先を絞り込みました。

 

 穏やかな性格(真面目で明るく、積極的)で、自分で計画を立てコツコツ努力するMくんの社会人生活も期待できそうです。そこには幼児期からの学習によって形作られた基盤があることを私たちは忘れてはいけないと思います。

 

  昨年12月に開催した第24回(講師は今回と同じMさん)で河野さんが学習について話された言葉がとても良い言葉なので、最後に紹介しておきます。

 

「子どもが最初から練習に応じてくれることはまずないわけです。書くのが苦手な子どもが多く、根気もない。『自分でどうにかしなくては』という思いもありません。ですから、そこをじょうずに『さあ、もう1回練習するよ』という気持ちにもっていくのが私たち親や大人の知恵ではないかと思います」

 

 なお、セミナーに参加されて成長記録を聞いた方、あるいはこのレポートを読んだ方の中でMさんの母親としての頑張りに対して驚くとともに、「そこまでやってMくんがかわいそう」と感じた方がいるかもしれません。

 そんな方は、大学4年生になったMくんのメッセージを添付しましたので、ぜひ読んでみてください。感じるところがあると思います(Mくんからメールで寄せられた原文のままです。セミナーの場でもこのメッセージを参加者に配布しました)。

 

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【参考 アンケート】(全部で33通。その一部を原文のまま紹介します)

 

●保護者の体験発表についての感想-1「日頃、子育て・教育で気になっていることは?」の回答

 

・就学前の保護者の声

 

「数字が苦手 ドリルなどのとり組を嫌がる」(6歳の保護者)

 

・小学生の保護者の声

 

「・子供をやる気にさせるパワーワードをつくりたい ・できていないことを注意するとすぐに何でも『ごめんなさい』と言うようになり、私が全部悪いような気持ちになる」(小1の保護者)

「・子ども自身が納得行かない場合、たたく、頭をぶつけるなどの自傷行為をすることがあります。どのように指導したらよいでしょうか? ・物の分別や、やっていいこと悪いことなどの理解力がまだまだ乏しいのですが、どうしたら理解力が上がりますか? また今後しっかりと理解力は上がりますか?」(小1の保護者)

「かんしゃくをおこした時に手をつけられないこと」(小1の保護者)

「家庭学習を1年生の時から続けてきましたが、苦手な部分や単元になると、とても嫌がります。無理にさせるとその教科じたいきらいになるんじゃないかと思い、子供の様子をみてとりくんでます。これから学年が上がるとますます多くなると思うので、心配です」(小2の保護者)

「・教えることの大変さ ・こちらの話しをきいてくれない、目が合わせにくい ・勉強となるとイライラしている」(小2の保護者)

「間違いを指摘するとすぐおこるし、泣いて嫌がります。こちらも指導していくうちにおこってしまい、感情的になる所をおさえていきたい」(小3の保護者)

「宿題が出来ない」(小4・小1の保護者)

「学習の習慣について、できていたことができなくなってきた(良くも悪くも

だらしなくなった)。どう立て直せば良いか」(小6の保護者)

「子供の意思をどこまで尊重してやれば良いのか、わからない。例えば、家庭学習についても自分のやり方に固執するので、やらなくてはならない事が後回しになる」(小6の保護者)

 

・中学生の保護者の声

 

「コミュニケーション面で周囲を困惑させることが多く、社会に出た時の影響が心配です」(中2の保護者)

「Mさんがおっしゃってたように、お友達との時間が何より大事になっているので、今まで頑張れてた課題が出来なくなってきた状態です。たて直しがなかなか大変です」(中2の保護者)

 

・教育関係者の声

 

「障害児さんの気持ちのコントロールが乱れた時の学習のさせ方・対処」

 

・ 保育関係者の声

 

「保育の現場で、集団の中に入りづらい子どもに接しています。『トイレが臭いから嫌』『暑くてやる気がしない』『服が気持ち悪いから活動もしない』あの手この手で嫌な気持ちを伝えてきます。本人が本当に何が嫌で集団活動を取り組めずにいるのか見極められず、あばれ回る本児に振り回されているのが現状です。主体性・子どもの考えや意見を大事にし、広げていく深めていく学びを問われる今の現場で、どこまで集団の中でのルールを本児に守らせていくのかさじ加減を悩んでいます」

 

●保護者の体験発表についての感想-2「特にどの部分に共感されましたか?」の回答

 

・就学前の保護者の声

 

「学習習慣を身につける」(6歳の保護者)

 

・ 小学生の保護者の声

 

「つみ重ねの大切さ。厳しさも大事」(小2の保護者)

「目を合わせて対話する 指摘されたら素直に受け入れる」(小2の保護者)

「『やるしかない』とおっしゃられていたこと。先のことへの不安におしつぶされる毎日ですが、今を見ようと心掛けたい」(小2の保護者)

「Mさんのあきらめたくなかったという気持ちに共感しました。私もできることが沢山あると思いました」(小4の保護者)

「全て終わったら自由、ていねいでないものはやり直し……毎日のようにやっていましたが、厳しすぎないか……!?と思うことも多々ありました。でも今日のお話を聞いて、流されず、私の意見を引き続き押し通そうと思いました」(小5の保護者)

「・友達は必要な時に必要なコミュニケーションがとれればいつでも出来るもの ・不適切な言動をする前に言ってやる、崩れる前に言ってやる」(小6の保護者)

 

・ 中学生の保護者の声

 

「子供の言い訳に流されず、強い意志を貫く。すごく大切な事だと思いました。頭ではわかっていても難しいのですが、必要なことだと思いました」(中2の保護者)

 

・教育関係者の声

 

「『目を合わせてきかせる』『ルールや手順をしっかり守らせる』といった基本を大事にするということ。『個性だから』『自由に/好きにさせよう』という気持ちではだめ。姿勢が崩れてから注意するのではなく、崩れそうになった時に先回りして声を掛ける。子供の言い訳に流されてはいけない、といった点が為になりました」

「‘ハイ’と返事をさせること」

 

・保育関係者の声

 

「・早めの対処 ・親が辛抱強く付き合う」

「ルールや約束事を明確にし、繰り返し伝えることの大切さ。現場では困り感をかかえる子や、そうでない子共に基本的生活習慣が身についていない事を感じています。どの子にも共通して、改めて大切だと感じました」

 

・その他

 

「発達上の遅れを抱える子どももそうでない子どもも身につけさせたい力は同じであるという考え方のところに共感しました」

 

●保護者の体験発表についての感想-3「『子育て(指導)のために役立ててみよう』と思ったことはなんですか?」の回答

 

・就学前の保護者の声

 

「不適切な行動をする前に正しく持っていく」(6歳の保護者)

 

・小学生の保護者の声

 

「・あきらめずにくりかえし指導すること ・端的にわかりやすく短いことばで伝えること ・リビング学習を続けること ・あいさつや片付けなど基本的なことの継続」(小1の保護者)

「今まで家でなにもしてこなかったのでちゃんとしようと思った。苦労しようと思った」(小1の保護者)

「全てに共感し、学びになりました」(小2の保護者)

「・不適切な行動をする前に、注意喚起する(そうすることで注意されっぱなしという状況も防げる)という親の姿勢が非常に参考になりました ・どんな時にほめるか、どんな時に直させるか、基準を明確に」(小2の保護者)

「勉強する習慣をつけること」(小2の保護者)

「目を合わせ、しっかりと伝える そして必ず『それでいいよ』と言ってあげたい」(小2の保護者)

「できた時にちゃんと評価する」(小3の保護者)

「家での学習の方法を模さくしてたので先ず、目を見て伝える…を自分の身につけていく」(小3の保護者)

「最初から最後まで目を見ること。何をしたら良いかを、大人が明確に示すこと」(小4の保護者)

「やらなかった実績を積み上げる やらせて、失敗させてそこから反省し学ぶ…をさせていたいので、注意することが本当に多かったです。『予防する』ということを今日からやってみようと思いました。ただでさえ注意することが多いので余計に注意することが増えていたなと感じました」(小5の保護者)

「特に『目を合わせて』ということをすぐにでもやっていこうと思った。また、不適切な行動を起こしてから注意、ではなく先回りして声をかけるということも、これから意識していきたい」(小学生の保護者/教育関係者)

 

・中学生の保護者の声

 

「こつこつつみ重ねることを大切にしたいです。結果をあせらず、何年もやり続けることのすばらしさをお聞かせいただきました」(中2の保護者)

「まずは、30分間から毎日の勉強習慣を身に付けようと思います」(中2の保護者)

 

・教育関係者の声

 

「特に『目を合わせて』ということをすぐにでもやっていこうと思った。また、不適切な行動を起こしてから注意、ではなく先回りして声をかけることも、これから意識していきたい」

「基本の挨拶・姿勢、相手の目を見て話す」

「指示は簡潔に」

 

・保育関係者の声

 

「くりかえしの大切さ」

「ルール作り 大人が目的意識を持って関わる事。子どもの思いを大切に自由にすごす保育の流れの中でも社会生活を生きていく上でのルールを教えることは必要だと思いました。学習に向かっていく子どもの基盤づくりに役立てていこうと思います」

 

・福祉関係者の声

 

「目をあわせ『はい』と返事をさせる」

「やってほしいことを言い続ける。子どもの感情にあわせない。何が○で何が×かをわかりやすく伝える。不適切な言動をする前に指導する。約束事を守る」

 

・ その他の声

 

「毎日毎日の積み重ね」

 

●保護者の体験発表についての感想-4「教育・療育の現状についてのご意見・提言をお聞かせください」の回答

 

「『子どものあるがままを受け入れましょう』『この子には無理させない方がよい』だけではなく、子どもが社会に出ていく時に本人が幸せであるために、きちんと基礎学力をつけさせてあげる方法論を保護者にももっと学ばせてほしい」(小2の保護者/教育関係者)

「毎年支援の先生、担任の先生が変わりますが、『こういう子です』とざっくりとで良いので引き継ぎしてもらえれば、と感じます。毎年説明しているので、少しでも負担を減らしたいです」(小5の保護者)

「『個性を尊重する』という言葉で、大切なことがうやむやにされているのでは…がんばることを『むりさせている』という見方をされてしまうことが多い気がします」(中2の保護者)

「子どものペースに合わせて、無理をさせない、ということが子どもの可能性を狭くしているのではないかと思いました」(保護者)

「先生がこれではいけないと仰っていた『子どものペースで』『子どもの自由に』『個性だから』という甘い言葉が、残念ながら今の教育現場ではまかり通ってしまっていると思う。教員も意識を変えていかなければならないと、今日のお話をきいて思いました」(教育関係者)

「知識はたくさんあるが、生活経験の不足、自律までほど遠い姿に、ちぐはぐさを感じています。生活を丁寧に生きていく。全ての子ども達に必要だと感じました」(保育関係者)

「子どものペースに合わせて、無理をさせない、ということが子どもの可能性を狭くしているのではないかと思いました」(保育関係者)

 

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 第26回も、感染防止対策を講じながら無事に開催することができました。毎回、発達の遅れが気になる子どもたちが学習によってさまざまな課題を少しずつ乗り越え成長していった様子を、保護者と指導者の対談形式で振り返ってもらっています。

久しぶりの大阪開催ということもあって要望が多かったため、プログラムは午前の部、午後の部の二部形式にしました。午前の部ではこれまで通りの成長記録の報告、そして、午後の部では子育てや指導についてさまざまな意見交換を行いました。

今回、参加された保護者のお子さんは小学生が中心で、その他、教育関係者、保育関係者、福祉関係者(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県在住の方々)などが成長記録に耳を傾けました。

 

 なお、大阪市教育委員会、箕面市教育委員会の後援名義を受け、また、大阪府内、兵庫県内、京都府内、奈良県内の教育委員会約20の協力も得て、該当地域の小中学校、幼稚園などにチラシを配布しました。福祉関係、医療関係、保育関係の団体からも後援をいただきました。

ありがとうございました。

 (報告/2022年8月16日 知覧)

撮影 堀)

 

■次回(第27回)

 

[テーマ]

「自閉症」のわが子。学習によってここまで成長した

言葉の遅れ、問題行動を乗り越えながら育った中学1年生(男子)の記録

 

[プログラム]

お話(体験発表) Yさん(中学1年生の母親)

進行と解説 河野俊一さん(エルベテーク代表/医療法人エルベ理事)

 

[日時] 2022年7月30日(土) 9:30〜12:00(受付開始9:15〜)

 

[会場] 川口駅前市民ホール フレンディア(埼玉県川口市川口1-1-1  キョポ・ラ4階)

 

[定員] 50名(保護者、教育・療育関係者、医療・福祉関係者、市民など)

 

[参加費](資料代等) 1,500円

 

*コロナ禍の状況次第で、日時・定員等の変更の可能性があります。

*現状では、以下の感染防止対策を予定しております。

 

●通常の会場定員(机ありのセミナー形式の場合、81名)に対し、密集を避けるために定員(50名)での利用とします

●感染防止対策にご協力ください(入場の際、手指の消毒、マスクの着用、検温をお願いします)。

●発熱、咳、鼻水など風邪の症状がある場合は参加を控えていただくようにお願いいたします。