[REPORT]報告・セミナー第24回(2021年12月18日)

〈NPO法人Educationin Ourselves 教育を軸に子どもの成長を考えるフォーラム〉による「発達の遅れ」連続セミナー[実例から知る、「発達の遅れ」が気になる子どもの教え方]第24回[「2学期から特別支援学級へ」と告げられてからの親の努力 「自閉症・ADHD」と診断されたMくんの20年間の成長記録](*)を12月18日(土)、埼玉県川口市の川口総合文化センター・リリアで開催しました(報告/知覧俊郎)。

 

*2021年度日本郵便年賀寄付金助成事業 後援:内閣府、文部科学省、厚生労働省、埼玉県、さいたま市、川口市、埼玉県教育委員会、川口市教育委員会、蕨市教育委員会、草加市教育委員会、越谷市教育委員会、北区教育委員会、豊島区教育委員会、足立区教育委員会、荒川区教育委員会、埼玉県社会福祉協議会、川口市社会福祉協議会、埼玉県医師会、埼玉県看護協会、全埼玉私立幼稚園連合会


 

 【概要】

 

▶︎テーマ

「2学期から特別支援学級へ」と告げられてからの親の努力

「自閉症・ADHD」と診断されたMくんの20年間の成長記録

 

▶お話(体験発表) 大学3年生の母親(Mさん)

▶進行・解説と質疑応答 河野俊一さん(エルベテーク代表/医療法人エルベ理事)

▶日時・場所 12月18日(土) 9:30〜12:00 川口総合文化センター・リリア 大・中会議室(埼玉県川口市川口3-1-1)

▶参加者 105名(うち保護者約40名、特別支援学級担任・教育相談員などの教育関係者20名、福祉・保育関係者約20名、その他 埼玉県、東京都、神奈川県、千葉県、群馬県、長野県に在住の方々)

▶参加費(資料代等) 1,000円

 

 

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 第24回は、母親のMさん(保育士)から次男・Mくん(大学3年生)20年間の成長記録が報告されました。幼児期に「自閉症」「ADHD」と診断されたMくん。しかし、自分の気持ちや行動を上手にコントロールする術をつかみ、癇癪などの癖・傾向も乗り越えてきました。そして、物事に積極的に取り組む前向きな姿勢を身につけています。

 

 現在、一人で自炊生活を続けながら、大学の学業とアルバイトを両立。穏やかな性格(真面目で明るく、積極的)の大学3年生で、自分で計画を立てコツコツ努力するタイプです。「いまの息子は幼児期や小学1年の頃とはまったく違います」とMさんは語っています。

 

 その姿は、小学校1年生から高校3年生まで続けてきた学習をベースに、生活面で役立ついろいろな力を養ってきた証です。間違いなく、両親とMくんの努力の賜物と言えます。

 

「母親のMさんは子育てで悩んでいました。しかし、大変だった小学1年生の時に『そのままでいい』は思わずに、『どうにかしなくては』と必死になって効果的なやり方を探し求めました。それを皆さんへお伝えしたい思います」

 

 もう一人の講師・河野俊一さんによるこの解説の言葉に「発達の遅れ」に立ち向かう大事なポイントが集約されていると思われます。

 

 ところで、今回、成長記録の発表に加え、大学生になったMくん自身のコメントも紹介されました。成長記録と照らし合わせることによって、「あの時、Mくんはどう考えていたのか?」「Mくんが本当に求めていたのはなんだったのか?」がよくわかります。幼児期から学齢期の発達障害をめぐる議論の中でこうした視点は少ないだけに、関係者にとって非常に参考になるのではないかと思われます。

 

 セミナーでは後半に紹介されたMくん自身の振り返りの言葉(メール原文のまま)ですが、ここで一部を紹介しておきたいと思います。

 

 「我慢ができなかった自分がなぜか頑張れるようになっていった。自分がチャレンジしている、しようとする行動を(エルベテークの)先生が言葉で『それで良い』と、伝えてくれて褒めてくれたからだと思う。答えが間違っていたり分からなかったりしてもあきらめず、また頑張ってみようと思う意欲に繋がった。何度も繰り返し学習する中で、少しずつ集中力が身についてきたと思う。表面的な評価や褒めてもらえても、嬉しいと感じないことは沢山あった」

 

 精神面の成長で欠かせない大切な姿勢や意欲といったものが語られています。大人が本気になって下してくれた評価なのか、その場限りのうわべだけの評価なのか、小さいながら子どもは大人の行動をしっかり見て、何かを感じているのではないでしょうか。

  

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担任の言葉がきっかけとなって

 

 セミナーでは、まず、Mくんの幼児期の様子が保育士である母親のMさんから発表されました。母親の保育園に一緒に通うことになるMくんは、他の子どもの邪魔をしたり、高いロッカーに登ったり、保育士の先生の手を振り払って駆け出したり。「ほんとにじっとしていられない。集団の中で自分の気が向いていなければ勝手に立ち上がったり、自分をコントロールできない感じでしたね。私がそばにいてもいなくても関係なかったです」と母親のMさん。

 

 年中時に相談したリハビリセンターで「自閉症」「ADHD」と診断されました。就学前まで月2回通い、作業療法や心理相談の療育を受けましたが、目に見える形での変化は認められませんでした。

 

 「子どものやりたいようにやらせておき、私は後ろからそれを黙って見ている感じで、子どもに注意はできない。療育の後、(スタッフから)その日の活動の話をしてもらいましたが、見ている私がわかるようなことを言われました。私は『じゃ、どうしたらいいのかな』と思うんですけれど、毎回、『様子を見てください』で終わってしまうんです」とMさんは振り返ります。それでも、療育へは年中、年少の2年間休まずに通ったそうです。

 

 小学校入学の時点でMくんは相変わらず落ち着きがなく、暴言を繰り返したり、文字は読めず、書くのもあやふやな状態。就学相談の場で教育委員会から特別支援学級を勧められます。しかし、たくさんの友だちと学ぶ普通学級へ通わせたいとの思いが強かったMさんは、小学校の校長へ直接、「1学期の間は待っていただきたい。できることを自分でやって、その後にもう一度、相談したい」と伝え、許可をもらいました。

 

 とはいえ、準備もせずに授業についていけるわけがありません。夏休み前の個人懇談で担任から「2学期から特別支援学級へ変わってください」と言われてしまいました。「文字が書けないので連絡帳が書けない。音読の宿題が出ても読めない。ひらがなも数字の書き方もわかっていなかったですね。いまでも思い出すと辛いくらいです」とMさんは話しました。

 

 このままでは療育に通っていた幼児期と同じ事態になってしまうのでは……と感じたのだと思います。担任の言葉がきっかけとなり、頼るべき存在を必死に探し求めます。

 

アドバイスに従って家庭学習に取り組む

 

 その頃、たくさんの本を読むうち、学習を通して「受け入れる力」「応じる力」を身につけさせ、さまざまな力を伸ばすという指導法に出会いました。その本には具体的な実例ややり方がたくさん紹介されていたこともあり、片道約3時間かけてエルベテークへ相談に出向きました。「この本に書いてあったものがもしうちの子にできるのであれば、知りたい。関わって教えていただけるのであれば、やらせたい」という思いでいっぱいでした。7月末のことです。2学期の開始まであまり時間がありません。

 

 Mさんが最初に驚いたのは、親子三人で出かけた相談会の席でのMくんの様子でした。

 

 「初めての環境で初めての先生と1対1で座り続けて話を聞いている姿をいままで見たことがありませんでした。先生が厳しく言っているわけではなく、淡々と普通に会話されている。説明は短くてわかりやすいんです。子どもはハッとすぐに顔を上げたり、受け答えをしているのがすごく衝撃的でした」

 

 相談を受けた河野俊一さんは当日の様子を次のように話しました。「初めてお会いしたときに、『きちんと教えていければいろんな力をつけられる』と私自身も思いました」。たくさんの子どもの指導にあたった実績から生まれた明確なアドバイスではないかと思います。

 

 それから本格的に学習が始まりました。指導に当たった河野さんによれば、学習の内容は基本的なことです。「先生の目を見て話を聞く練習から始めました。目がそれていたら『目を見なさい』『いまはこうします』と指摘します。そして、私どもの教室で鉛筆の持ち方、文字の手本を見て見比べる練習をしました。(Mくんは)その日の気分次第で好き勝手な書き方をしていましたが、筆順がきちんとしていないから、ひらがなや数字を覚えていくことがなかなかできないのです」と河野さんはその時の課題を指摘しました。

 

 Mさんは家庭学習の大切さに気づきました。勝手な書き方からきちんと手本を見て字形・筆順・大きさを意識しながら書く書き方へ切り替えました。教えた通りにMくんが書かなければ書き直しです。ご主人も交代で協力してくれました。その夏休みはドリルやエルベテークの宿題などに1日3、4時間かけて取り組みました。

 

「書いたものがちょっとでも曲がったり書き順が違ったりしたら、私が横から消しゴムで消しました。子どもは泣きます。でも、書き直したら『それでいいよ』とその場でほめてあげると、ハッと顔を上げて、それまで泣いていたのにニコッと笑うんですね。自分がやっているものに対して評価してもらったことが本人のやる気につながったのだと思います」

 

 Mさんは手応えを感じます。「子どもがかわいそう」で終わっていたら、その先はなかったのではないでしょうか。先ほどのMくん自身の回想にも「学習を繰り返しているうちに『丁寧に』の意味が理解できるようになった」とあります。親の熱心さがあれば、子どもも手応えを感じ始めるのです。

 

「変わりましたね」とMくんの変化に気づいた担任の存在

 

 学習の成果は2学期になって現れました。「ずいぶん変わりましたね。ずっと動かずに椅子に座っているんですよね」と担任の評価は良い方向へ。しばらく普通学級で頑張るという方針が学校とMさん親子の間で共有されたのでした。

 

 河野さんは、評価について大事なポイントを語ります。

 

「先生がMくんの変化に気づいてくれたというところに尽きますね。その時のMくんはひらがなが少し読め、数字がどうにか丁寧に書けるようになった程度です。たし算もひき算もできない。でも、先生は姿勢面が変わったことを気づいて、認めてくれたわけです。先生にとっても教えやすくなり、関わりやすくなった。先生自身も手応えを感じられたのではないでしょうか」

 

 そして、2年生で学ぶ九九がひとつの分岐点になりました。暗唱できるようになり、担任の先生からかけ算博士の賞状をもらったエピソードが語られました。「勉強すればいいことがあるね」。Mくんはしみじみそう言ったそうです。次第にMくんに興味をもつ友だちが増え、周りとの交流も始まり、休み時間にはサッカーを楽しむようになりました。

 

 家庭では、エルベテークの宿題を先に済ませ、その後に学校の宿題をやるというサイクルのリズムが定着しました。リビングに教材や宿題を持ち込み、そこで勉強していたとのこと。2、3時間の学習の後は自由時間です。エルベテークでの学習日にはMくんは普段より早起きし、前日にきちんと準備した教材や筆記道具を持って出かけたそうです。学習を楽しみにしていた様子がわかります。

 

 もっとも、3年生の頃、友だちが増えるにつれ、遊びを優先するようになりました。その結果、Mくんは学習時間を守らず、夜遅くまでかけて宿題をやるようになり、文字はいい加減な文字へと変わりました。それまでの習慣があっという間に崩れてしまったのです。結局、夫婦で話し合い、学習を優先させることをMくんと約束。3年生の頃から1年以上かけて少しずつ元の状態にもっていったとのこと。

 

学ぶ習慣ができていたから次第に成績が向上

 

 中学に入って学習内容が高度になると、小学校の点数よりも低くなりました。中学校入学後の中間テストは思ってもみなかった低い点数でした。河野さんが次のように説明しました。

 

「しかし、大事だったのはそれでも基礎的な学習を繰り返すという方針に教室と親の間でぶれなかったことです。『俺は勉強ができない。俺なんかダメなんだ』となりがちでしょうが、Mくんは友だちよりも何倍も練習すればできるようになるはずだと思って家庭学習に取り組み続けました」

 

 自分が得意な部分を増やし、苦手な部分を補う工夫も自分なりに考えて真面目に取り組みました。文章問題を克服する方法も考えました。その結果、3年生の1学期に初めて英語で5の評価をもらい、2学期には成績が一気に向上。他の教科にも広がっていきました。

 

 高校は希望の公立高校を受験し、合格。「入学してから慣れるまでは大変で、成績は中学時代と同じように最初は落ちたんです。でも、本人はやれば成績が上がることをわかっていましたので、焦ることなく学習を続けていました」とMさん。すると、学年全体で2番の成績を残すこともありました。高校2年の時には自ら立候補し、生徒会活動に積極的に参加しました。

 

 高校卒業前には返済不要の給付型奨学金に応募。筆記、面接、論文の各試験を経て、合格しました。いま、就職活動へ向けて準備している状況です。

 

 Mさん親子の成長記録を踏まえて、最後に河野さんは次のように締めくくりました。

 

「子どもが最初から練習に応じてくれることはまずないわけです。書くのが苦手な子どもが多く、根気もない。『自分でどうにかしなくては』という思いもありません。ですから、そこをじょうずに『さあ、もう1回練習するよ』という気持ちにもっていくのが私たち親や大人の知恵ではないかと思います」

 

 親が効果的な指導法を探す、そして目先の結果にとらわれず子どもが努力できるように家庭でしっかり導く、子どもの変化が親の自信になる、周りの大人から評価され、学校でもサポートしてもらえるようになる、それに子どもも応える……。

 

 診断名や状態は異なったとしても、Mさん親子が歩む道筋を一人でも多くの親子がたどってほしいと願わずにはいられません。「発達障害」の子どもに対して大人がやるべきことは同じだと思えるからです。

 

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【参考 アンケート】(全部で74通。その一部を原文のまま紹介します)

 

●保護者の体験発表についての感想-1「日頃、子育て・教育で気になっていることは?」の回答

 

・就学前の保護者の声

 

「目を見てはなしを聞かない 返事はしてくれるが、内容を理解してくれているか不安」(6歳の保護者)

 

・小学生の保護者の声

 

「母子登校を11月末で終了したが、その後、子どもが少し不安定になっている様な気がする」(小1の保護者)

「2歳の頃から療育に通い、普通学級の判定がでるまで子どもと頑張ってきたのに、自分が仕事復職した為に、余裕がなくなって、基礎・基本の時間がおろそかになっていました。気を引きしめて後悔のない様に過ごしていきたいと思います」(小1の保護者)

「・1年生の息子が授業に集中できない ・ノートがとれない ・やる時(自分の中のスイッチが入った時)はできるが、やる気のない時との差が激しい ・年少弟も座って外食につれていく事が大変です」(小3、小1、年少の保護者/保育士)

「つい子どもの気持ちを優先してしまい、やるべきことを後回しにしてしまう」(小2、年長、年少の保護者)

「療育施設や小学校、他の事業所などでは本人のペースでゆっくり成長すればいいと言われますが、その後のフォローがない」(小3の保護者)

「中学・高校での学習についていけるか、進学できるかは日々不安に感じている。Mくんの話はとても希望につながった」(小4の保護者)

「ひとりごとが直らない 自分の話に勝手に話をする(自分の興味がある事だけ)」(小6の保護者)

 

・教育関係者の声

 

「・思い通りにいかないことがあると、顔や態度に出す児童が増えたと思います。自分中心の考えが多い。 ・家庭での教育ができず、学校任せなことが多々あります」(小学校)

「家庭での教育力の低下が大変気になっています」(小学校)

「学習に対してやる気がない、拒否感を示す。プリントを見るだけでも怒り出す」(小学校)

「タブレットが導入され、今後の教育がどのように変わっていくのか」(小学校)

・保育関係者の声

「落ち着かない座れない子に対しての具体的対応(指導内容)」

「子どもの集中力が続かない」

 

●保護者の体験発表についての感想-2「特にどの部分に共感されましたか?」の回答

 

・就学前の保護者の声

 

「親がリズムを作ってあげることが大事だということです。崩れないよう気を引きしめて行きたいと思います」(5歳の保護者)

「全てに共感しました。子供にとって最善のことをしてあげたいという気持ちがすごく強いです。親の私も子供も後悔をしないように選択をしていきたいと思います」(6歳の保護者)

「家庭での子供とのかかわりかたを変えることで子供の成長を促すことができる」(8歳の保護者)

 

・小学校の保護者の声

 

「基礎・基本が大事であること。生活リズムをくずすと元に戻すのが大変であること」(小1の保護者)

「親が信念を持って教えて導きつづけることが大切だと思いました」(小2の保護者)

「小学校3年生で友人ができてリズムがくるったのをたて直したところ」(小4の保護者)

・中学校の保護者の声

「お子さんのメール。やっぱり子供も大変だったんだと実感」(中2の保護者)

「子どもときちんと向きあって根気よくサポートし続けた事。やりとげた事がご本人の自信につながった」(中3の保護者)

 

・高校生の保護者の声

 

「親子で適切な行動を取られたこと」

 

・教育関係者の声

 

「本日のまとめにあった教育の基本は家庭であることを全ての親御さん、これから親になる人に伝えたい」(小学校)

「「目を見て話す」「正しい姿勢」「正しい筆順」すべて特別支援学級で指導していることなので共感いたしました」(小学校)

「・教育をつけるにはまず基本のしっかり聞く見ることが大事であること ・子育ての基本は乳幼児期の家庭・親の関わりが大事であること」(小学校)

「保護者は子ども教育の主体であるべきという話。(教員などはそれを全力でサポートするというしせい)」(小学校/特別支援学級)

「息子さんが泣いて嫌がっても、正しい字を書くまでは、消しゴムで消して直させ、根気強く見守られるMさんの姿勢が素晴らしいと思いました」(小学校/中学校)

「習慣として学習を身につけさせていく」(中学校)

「目を見て相手の話を聴くこと。中学生でもできる生徒が少ない」(中学校)

「お母様のなんとかしてやりたいと思う、あきらめない強い思いが素晴らしかったと思います。エルベテークで授業の先どりしてくれたこと、教わったことを家庭でも根気よく実践できたことが大きかったと思います。継続することの大切さを、あらためて感じました」(中学校)

 

・福祉関係者の声

 

「関わり方次第で、変わる(成長する)ことができるという点、そして、本気度が必要という点が響きました。基本姿勢が大切という点は参考になりました」

 

・保育関係者の声

 

「昔からきびしく言われてた姿勢・マナー等基本的な生活習慣の大切さを改めて思いました」

「今(3歳児)座っていられない、話を聞けないと課題が沢山でも、その子の人生はこれからで、その人生でその子にどう関わるか、どうサポートするかで、大きく変わっていくのだとしみじみ感じ、勉強になりました」

 

・福祉関係者の声

 

「発達障害の子が、受け入れる姿勢を持つことの重要さ(将来の広がり)を改めて感じましたし、それが開発されないまま生きる子たちの苦労と将来を考えました」

「やるべきことを伝え続け、習慣化させることの大切さ。できたところを評価・認めることの大切さ」

 

●保護者の体験発表についての感想-3「『子育て(指導)のために役立ててみよう』と思ったことはなんですか?」の回答

 

・就学前の保護者の声

 

「・短くわかりやすい言葉で伝える事 ・根気よくやりとげさせる ・やらないといけない事を優先する」(4歳の保護者)

「きちんと出来るようになるまで見届ける、家庭でも目を見て話す習慣をつけようと思いました」(5歳の保護者)

「小さな事でもやりとげる所をみとどけ、やる気をうながす事」(6歳の保護者)

 

・小学生の保護者の声

 

「親自身が子供の正しい教育について強い意志でつらぬいていく」(小3の保護者)

「Mくんの「表面的な大人のホメ言葉はわかる」という厳しい言葉は少し思い当たる事もあり、反省した。もっともっと真剣に子供との会話、質問への回答、学習指導に付き合いたいと感じた」(小4の保護者)

「・一対一でコミュニケーションを取る ・うわべだけでほめるのではなく、じっくり向き合ってできた事を共に喜ぶようにしたい」(小2、中1の保護者)

 

・教育関係者の声

 

「優しくきびしく、やりとげさせること、ほめること」(小学校)

「・親が覚悟を決めれば、子も変わるということ ・必要なこと、大切なことは毅然とした態度で教えること」(小学校)

「筆順の大切さ(書くことに苦手意識がある子はいつも違う筆順で書いているので納得しました)」(小学校)

「書字をきちんと取り組ませていこうと考えました。知的障がいだから形で漢字などをとらえ、書き順は求めなかったところがあったので」(中学校/特別支援学級)

「子どもの言いわけやご機嫌に流されず、強い意志で導く、この姿勢を大事にしていきたい」

 

・福祉関係者の声

 

「障がいの特性だとあきらめていた部分を、まず単純にできそうな点にしぼって、くり返し、支援目標にかかげて指導できればと考えています」(相談員)

 

・保育関係者の声

 

「目を見て話を聞くということを全体でも1対1でも必ずやっていきたいと思いました」

 

●保護者の体験発表についての感想-4「教育・療育の現状についてのご意見・提言をお書きください」の回答

 

・就学前の保護者の声

 

「発達に遅れがある子たちも、親やまわりの人が気付いてあげて関わり方によって変わることができるのだと、知ってほしい」(6歳の保護者)

「Mさんのお話と同様に、療育は行っても遊ばせているだけで「これって意味あるの?」と毎回思っていました。もう少しアドバイスなり、接し方への指導がほしかったです」(6歳の保護者)

「子どもに対していやがることをしない指導が多く、子どもの成長があまり感じられない」(6歳の保護者)

 

・小学生の保護者の声

 

「子どもができることを親が把握していないことがあり、子どもがただ支援級に放り込まれている現状がある」(小2・年長・年少の保護者/教育関係者)

「通級を週2回利用しています。教育委員会の予算と方針が毎年変わり、カリキュラムや指導員も毎回変わり安定していません。カリキュラムもどちらかというと子供にすり寄った易しいレベルで、「やりきる事」「できるを実感させる」を優先している事は理解しているが、内容、効果は評価に値せず、不満」(小4の保護者)

 

・教育関係者の声

 

「小学校に入ってからの「ではどうするか」の対応が不十分であると感じました」(小学校)

「子どもに無関心な親、関わり方が分からない親に対してアプローチや支援の仕方がうまくできず困っています」(小学校)

「学校現場では、専門性がまだまだ不足していて対応も手探りです。今回の話を参考にさせていただきたいと思います」(小学校)

「基礎的なことが身についていないのに話し合いをさせたりタブレットを活用させたりする教育へ向かっていることに大変不安を感じています」(小学校)

「家庭の力が弱っていると感じます。学校(家庭外)学んでも、家庭に戻って元に戻ってしまう。親の教育も必要」(小学校)

「放課後デイなど療育施設が増えてきているが、質がとわれていると思う。スタッフの意識を向上するために、講習や勉強をする機会があればよいと思う」(中学校)

「今回のセミナーのような内容を、聞ける機会が少ない。教員も保護者の方も、皆に聞いてほしい」(中学校)

「中学なので療育が間に合うだろうかとも思うのですが、保護者もどうしてよいかわからずと考えていらっしゃる方も多く、こちらからよいアドバイスが出せないでいました。このセミナーは以前から知っていましたが、一度直接お話をききたいと思い、ようやく参加できました。もっと本等でも詳しく知っていきたいと考えました」(中学校)

 

・保育関係者の声

 

「配慮を要する子が年々多くなってきている。療育を進めて保護者が受け入れても予約が取れない。その子に有効な対応を相談したいのだが、なかなかできない」

 

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 コロナ禍が長引くなか、12月は感染者数が落ち着いたこともあり、感染防止対策を講じながら無事に第24回目を開催することができました。毎回、発達の遅れが気になる子どもたちが学習によってさまざまな課題を少しずつ乗り越え成長していった様子を、保護者の方に振り返ってもらっています。今回、参加された保護者のお子さんは、小学生を中心に3歳から高校3年生まででした。

 

 なお、埼玉県内、東京都内の9つの教育委員会の後援名義を受け、また埼玉県内、東京都内、千葉県内、神奈川県内の教育委員会約50の協力も得て、各地域の小中学校、幼稚園などにチラシを配布しました。教育関係、保育関係の方にも多く参加いただき、埼玉県内の2つの幼稚園からは研修を兼ねて複数名の参加者がありました。

 ありがとうございました。

(報告/2022年1月31日 知覧)

撮影 堀/知覧)

■次回(第25回)

 

[テーマ]

「受け入れて応じる力」を身につけることから

「自閉症」と診断された子どもの18年間の記録

 

[プログラム]

お話(体験発表) Nさん(高校3年生の母親)

進行と解説 河野俊一さん(エルベテーク代表/医療法人エルベ理事)

 

[日時] 2022年3月19日(土) 9:45〜11:45(受付開始9:30〜)

 

[会場] 川口総合文化センター・リリア 1階 催し広場(川口市川口3-1-1 JR川口駅西口よりすぐ)

 

[定員] 80名(保護者、教育・療育関係者、医療・福祉関係者、市民など)

 

[参加費](資料代等) 1,000円

 

*コロナ禍の状況次第で、日時・定員等の変更の可能性があります。

*現状では、以下の感染防止対策を予定しております。

 

●感染拡大防止対策として、会場の定員(150名)の約半分の定員としています。

●セミナー当日はNPO法人として会場入り口で消毒液を準備し、検温・除菌・換気など、十分に気をつけて臨みたいと思いますが、参加の際は感染防止対策(マスクの着用など)をよろしくお願いいたします。

●発熱、咳、鼻水など風邪の症状がある場合は参加を控えていただくようにお願いいたします。