[REPORT]報告-セミナー第15回(2019年3月16日)

私ども〈NPO法人Education in Ourselves 教育を軸に子どもの成長を考えるフォーラム〉による「発達の遅れ」連続セミナー[わが子の「発達の遅れ」、その改善に取り組む保護者たち]第15回(赤い羽根共同募金重点助成事業 後援:埼玉県、埼玉県教育委員会、埼玉県社会福祉協議会、川口市、川口市教育委員会、川口市社会福祉協議会)を2019年3月16日(土)、川口市のメディアセブンで開催しました。



 

【概要】

 

▶︎テーマ

「この子と会話することは一生ないでしょう」、

の子が高校受験をめざす

(言葉・コミュニケーションの遅れ、多動への対処法)

 

▶︎お話(体験発表) 中学2年生の母親

▶︎進行と解説 河野俊一さん(エルベテーク代表/医療法人エルベ理事)

▶︎3月16日(土) 10:00〜12:30 メディアセブン/コミュニケーションスタジオ(川口市川口1-1-1キュポ・ラ7階)

▶︎定員 34名(うち保護者28名、教師1名)

▶︎参加費 800円(資料代等)

 

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 第15回は、息子さん(現在、中学2年生)が小学1年生の時、普通学級入学の条件だった付き添いを、ほぼ10ヶ月間、登校から下校まで一日中、実行されたお母さまMさんによる貴重な体験発表でした。

 

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 Mさんは、体験発表の中で繰り返し、学習習慣と生活習慣の大切さに触れました。冒頭、現在の息子さんの様子を紹介した際には、次のようにお話しされました。

 

 「家庭では生活面においては基本的に自立しています。家庭内で会話に困るようなこともほとんどありません。朝なども起こすこともなく、自分で起きて学校の支度をして、すべて自分で行って出ていきます。いまのところ皆勤賞で学校に通っています。学習面は声をかけることもなく自ら毎日2、3時間の時間を学習にあてています」

 

 かつて発語がなく多動傾向があった息子さんとはとても思えないでしょう。

 

 それにしても、Mさんによって「発達の遅れ」と学習習慣が関連づけて語られることに驚く方も少なくないかもしれません。なぜなら、いま、「発達の遅れ」をもつ子どもに対応する時、「この子たちに勉強させても意味がない」「(勉強させる)時間がもったいない」「勉強よりも生活面の自立が先」という対応がほとんどだからです。

 

 そこに共通しているのは、無意識の「諦め」が前提にあるのではないでしょうか。その意味で、自らの努力によって「諦め」を乗り越えたMさんの体験発表は、「発達の遅れ」をもつ子どもへの接し方・教え方を探し求める人たちにとって良い見本になるように思われます。

 

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知らない他人から「諦めなさい」と言われて……

 

 Mさんの息子さんが、現在のように安定した学習習慣と生活習慣を身につけるまでには、親の努力と子どもの努力、双方があったと言えます。なにしろ、息子さんは3歳になっても言葉が出ず、多動傾向もあったからです。

 Mさんは振り返ります。

 

 「変な話ですけれども、動物のようにキーキーワーワー言うだけで、皆さんご存知かもしれませんが、自閉症の特徴みたいな、高いところが好き、私の手を使ってのクレーン現象、バイバイも逆さバイバイ、濡れているものはだめとか、ほとんどぴったり当てはまるような感じでした」

 

 3歳上のお姉ちゃんの子育てもあり、「いずれ言葉が出るだろう」とあまり深く気にしていなかったMさんでしたが、幼稚園の入園試験の時にただ事ではないと思い知らされました。息子さんは、動物もわからず、色もわからない事実を突きつけられたからです。結局、ただ走り回るだけだったので幼稚園の入園許可はもらえませんでした。

 

 その後の3歳児健診で病院での診察を勧められ、通院先で「中程度の自閉症」と診断されました(その後、別の病院では「広汎性発達障害」)。

 

 「病院のほうでなにかしてくれるのではないかと思って『どうしたらいいですか』と訊きましたら、『もう来なくていいです』ということなので、民間の療育のほうへ紹介されて行ったんですが、そこでは親子で遊ぶとか動物と触れ合うとか、公園へ行って走るとか、そんなようなことしかしなかった。まったく発語を促すとか改善を促すようなことはとてもとてもなかったので、どうしたものかなと思って、いろんなことを手探りで探し始めていました」

 

 その療育施設で言われた言葉はMさんに突き刺さりました。こう言われたのです。「諦めなさい。この子はたぶん見てても、一生喋れることはない、お母さんと会話することはないだろうから、あなたはじたばたしていないで、障害者としての親になりなさい」と。

 Mさんはその時の気持ちについてこう話しました。

 

 「ぜんぜん知らない他人の方に『諦めなさい』と言われたこと自体が納得できなかったので、『自分で探さなければ。なんとかしなければいけないな』とその頃、決意しました」

 

 今から振り返れば、ひとつの大きな分岐点だったように見えます。

 

 3、4ヶ月後にはすべての音が出せるようになり、おうむ返し・独り言への対応も

この時期、自閉症に関するいろいろな情報を探し求めていたMさんですが、そのぶんいろいろな情報に振り回される結果にもなりました。中には、効果があると伝え聞いた奇妙なやり方に疑うことなく没頭したりもしました。

 

 ようやく、息子さんに光が射すことになった学習中心の接し方・教え方に出会ったのが、3歳3ヶ月の時でした。一冊の本(『発達の遅れが気になる子どもの教え方』)がきっかけでした。そこには、「発達の遅れ」をもちながらも、学習を積み重ねることによって、良い意味で大人の予想を裏切りながら言葉を発するようになったり、学習習慣・生活習慣を身につけたり、穏やかな性格になったり、そうした子どもたちの成長する姿が何例も紹介されていたのです。

 

 しかし、それまで情報に振り回されてきたMさんでしたから、夫婦で本の内容について「これは信じられるだろうか?」と話し合うことから始まったそうです。兄弟、両親にも本を読んでもらいました。

 

 当時、ご主人のお姉さんは小学校の教師でしたが、率直にこんな感想を述べたそうです。「こんなことはないんじゃないの。自分もそういう子をいっぱい見てきた、だけど改善している子はいない。毎日、迷惑をかけている子もいっぱい見てきた。直って良くなっている子はいないので、これはたぶん嘘というか、違うだろう」と。

 

 他人事では済まされないMさんは必死です。本に書かれた指導法と子どもたちの成長を読んで、「うちの子もこうなってほしい」と願い、その学習教室(エルベテーク)で学ぶことを決断しました。

 

 まず、50音一つひとつのチェック、どの音が出てどの音が出ていないかの確認から学習が始まりました。口の開け方や息の出し方などを修正しながら一音ずつ練習していくのです。その結果、3、4ヶ月後にはすべての音が出せるようになり、次第に単語の追唱へと進んでいきました。

 

 体験発表の進行と解説に当たった河野俊一さん(エルベテーク代表)は、その練習の最大のポイントについて次のように補足しました。

 

 「きちんと相手の目を合わせて見るということが最初できなかったので、きちんと目を見て話を聞いたりいろんなものをきちんと見て認識したり探したりという練習を最初は一生懸命やったんです。それが今度は先生の口元、口の形を見てまねをする、先生がどういうふうに言っているのか、そういった練習をしてそこに至ったわけです」

 

 やがて、言葉を発するようになると、今度はおうむ返しと独り言が始まりました。これは、言葉の遅れがある子どもがよく迎える事態です。Mさんはアドバイスに従って次のように対応しました。

 

 「とにかく、目を見て『しません』『言いません』を言い続けるしかないということですね。喋りそうな時に『しません』『言いません』。でも、言うんですけれども、また言ったら『しません』。その繰り返しです。はてしなくいつ終わるのかというぐらいの闘いみたいなものでした」

 

 エルベテークの先生からは「2年生ぐらいになれば落ち着きますから」と言われたそうです。実際、小学2年生の頃には独り言もおうむ返しもほとんどなくなりました。

 

登校から下校までの付き添いをじょうずに活用

 

 その小学校ですが、入学にあたってMさんは大きな試練を迎えました。入学前年の就学時健康診断を迎え、事前に周到に練習して出かけたものの、息子さんは指差し形式の視力検査に戸惑い、パニックに陥ったため、教育委員会から特別支援学級か通級学級を勧められました。

 「普通学級でお願いします」と何度も伝えたMさんに対する返答は「朝から晩まで付き添うなら、普通学級でもいいですよ」でした。すぐにMさんは「そんなことでいいんですか。よろしくお願いします」。

 

 実は、Mさんは学校側とのやりとりを前もって想定し、覚悟を決めて学校側との面談に臨んだのでした。

 

 とはいえ、実際の付き添いの大変さは想像以上でした。40代の、学年主任を兼ねていた担任の先生から警戒される中での付き添いがスタートしました。Mさんは淡々と振り返りました。

 

 「明らかに警戒されているのはわかっていたので、なるべく目立たないようにと教室の後ろのほうに居たんですけれども、とにかく多動なので座っていられない。後ろにいるんですが、座っていられないことを制さないといけないので、結局は床に座っているような状態で横に着くようになりました」

 

 Mさん親子は教室の中でまるで石ころのような存在でした。息子さんに指示を出すのはMさんの役目。毎朝、4時半に起床し、家事を済ませてから息子さんと一緒に登校し、下校まで学校で過ごしました。約10ヶ月続きました。

 

 「こんな状態がいつまで続くのか」と辛い思いになることもあったMさんですが、アドバイスを参考にこの関係をじょうずに活用した点がMさんの見識だと思います。

河野さんは付き添いの目的を忘れないようにと、次のようなアドバイスを送ったそうです。

 

 「彼が不適切な行動をする時やする前に、『こんなふうに目を見て、こんな言い方をすればこの子は改善できる、こういうふうに理解してくれる』という接し方・方法を先生にも知っていだけるようにやっていきましょう」

 

 「発達の遅れ」をもつ子どもへの対応がわからない担任の前で、授業中、どこを見ればいいのか、どうすればいいのか、理解できない言葉をどのような手順・方法で教えていけばいいのかなど、指示の出し方・接し方をMさん自ら実践しました。

 

 いっぽう、こんなエピソードもありました。2学期、授業を視察した大学の専門家が、すぐ友だちに近寄ってしまう息子さんの様子を見て、「この子は距離感がわからない子だ」と指摘しました。そして、「悲しいカード」など顔の表情を表したカードの使用を提案されたのです。

 Mさんはその唐突な提案に戸惑い、エルベテークに相談した結果、「この子は言葉できちんと目を見て説明すればわかる子だから、それは必要ないです」という要望を担任に伝えました。

 

 「そうですよね。わかりました」が担任の言葉でした。その時、Mさんは担任が息子の様子をきちんと見てくれ、どのような接し方が適切なのか少しずつわかってきている証拠だなと感じたのでした。息子さんの目を見てきっぱりと、「これをするよ」とか「それはしちゃいけない」という具合に明確に指示を出す……。

 その頃から、Mさんや担任の接し方・教え方を見習って、周りの友達も「してはいけないこと」については「ダメだよ」などと息子さんに注意するようになりました。

 

 そして、3学期、お姉ちゃんがインフルエンザに罹り、回復するまでは息子さんの付き添いができない事態になり、そのことを担任に伝えたところ、「大丈夫です。学校に来させてください。私が見ますから」との返事をもらいました。息子さんは一人で問題なく過ごすことができました。それ以来、10ヶ月に渡った付き添いは終わりました。

 

学校との信頼関係づくり、そのポイント

 

 辛い経験をくぐり抜けてきただけに、心に残るエピソードもたくさん生まれました。他の子どももできないことだらけなので、休み時間になると、「『あ』ってどうやって書くの?」と聞いてきたり、水筒が壊れると「こわれちゃったんだけど直してくれない」と言いにきたりしたそうです。

Mさんはいつしか、クラス全体の相談員のような頼もしい存在になっていました。担任の先生が用事で席をはずしている時には、子どもたちから「代わりに先生やんなよ」と言われたこともあるそうです。

 

 「1年生の終業式が終わったあとに先生が『今日でこのクラスは終わりだね。みんな1年間、ありがとう』という話をなさって、その時に『みんなにはもう一人お礼を言わなきゃなんない人がいたよね』と言ってくださいました。『(M君の)お母さんは自分の子のために来ていたんだけど、世話にならなかった子はいないよね』とお話をして、みんなが私に『ありがとうございました』と言ってくれました」

 

 その後、「できないこともあるけれど、できることもたくさんある子だ」と理解した担任の先生は「私が見届けたいから」と校長にお願いし、3年生までの3年間、息子さんの担任を務めることになりました。学校との信頼関係づくりについて考える際、とても参考になるエピソードではないかと思われます。

 

 そして、4年生、5年生になると、大人びてくる子どもも増え、周りの友だちとの間でいくつかトラブルも生まれましたが、そのつどMさんは担任を通して問題の解決を図りました。

 

 6年生になると、初めて担任は男の先生になりました。中学校へ進学した時のことを考慮しての対応だったようです。

 

 「他の先生がおっしゃるには、『この1年間は男の先生で息子のことを知らない先生が受け持って慣れさせてみましょう』ということでした。そこまで配慮していただいたんだなと感謝しました」

 

 中学校への進学にあたって6年生の担任の先生は、中学校の先生との話し合いの場で、事前にMさんから聞き取りしていた要望を伝えてくれるほどでした。中学校の入学式のあと、新しい担任の先生に面談する機会があり、そこで「うちの息子にはこんな苦手なところがありますが、よろしくお願いします」とMさんは伝えることができました。高校受験への意欲についてもその場で話すことができました。

 

 このように、小学校と中学校の間でスムーズな連携ができたベースには、やはり、親の努力と子どもの努力があったからだと言えると思います。

 

親の努力と子どもの努力

 

 体験発表の中でMさんは家庭教育の重要性に触れ、「子どもは家で成長する」と強調しました。家庭学習に力を入れ、結果を出したからこその感想だと思われます。

 

 具体的には、小学校から現在の中学校に至るまで、どのような形で家庭学習を推し進め、息子さんに学習習慣・生活習慣を定着させていったのでしょうか? Mさんはこう語りました。

 

 「小学校の時、最初にエルベテークの宿題、それから学校の宿題。エルベテークの宿題をやるときはなるべくそばについて、文字の訂正とか丁寧(に文字を書くこと)。ちょっと書き急いで汚いときは『汚い』『違う』ということで書き直しをしたりしました。うちの子どもは宿題の問題を見ても、言葉の意味がわからないことがとても多いので、意味を説明したり、状況を説明したり、そういう工夫をしながら勉強を進めていました」

 

 学校の宿題よりもエルベテークの宿題から取りかかるのは、後者の宿題が息子さんの課題に応じて考え抜かれた内容だったからに他なりません。また、文字の正確さを求める理由は、単なる見た目の美醜という問題ではなく、手本どおりに文字を書こうとする姿勢からルールや約束事を身につけさせる狙いがあることを、Mさんはよく理解していました。

 

 そのMさんが、家庭学習の最大のポイントとしてあげたのが予習の大切さです。特に、「発達の遅れ」をもつ子どもの場合、あらかじめ授業がどのように進行するのか、授業でどのような問題・質問・言葉・漢字などが出てくるのかを知り、それを準備しておくことが家庭学習をスムーズに進めるコツだったと強調しました。

 小学校時代は、担任の先生から予定表をもらい、それをもとに家庭学習を組み立てていたとのこと。それは、美術や体操、家庭科の授業、さらには運動会などの学校行事に関しても同様でした。

 

 「知らない状況が一番困ることなので、予習、これはとても大事なことでした」

 

 こうした親の努力と工夫によって、息子さんは学習や学校生活にすんなり馴染むことができたのです。中学校に入ると、息子さんはその日の家庭学習は自分で決めて自分から初めているそうです。その時間は、2時間から3時間。

 解説にあたった河野さんは次のように評価しました。

 

 「お伝えしたいのは、毎日、自分一人で家で2時間、場合によっては3時間近くコツコツと家庭学習の習慣を身につけているところですね。そこが彼の強みです。たぶんこれは高校になってもその力を大きく発揮できるでしょうし、私どもの教室でもたくさん事例があるんですけれども、上へ行けばいくほど、成績がアップしていくと思います。家でしっかり学習する習慣を身につけている子どもというのは非常に強いんじゃないかなと思います」

 

 親として忘れてはいけない基本的な姿勢ではないかと思われます。

 

 かつて幼児期に言葉がなく、3、4ヶ月の練習を経てようやく50音が出るようになった息子さん。自閉症特有のさまざまな言動もありました。その彼がいま中学2年生になり、英語や数学の試験で高い得点をあげ、成績はクラスでも常に上位を占めるようになりました。穏やかな性格で、地域のボランティア活動にも参加しています。

 

 体験発表の終わりのほうでMさんは、「息子をなんとか社会で生きていけるようにしてやりたいという強い思いと親としての責任感。いつもそれを感じていましたし、息子の未来の姿、『こうあってほしい』『こうなってほしい』ということを思い描いて、『それを実現できたらいいな』という気持ち、あとは感謝の気持ちです」と子育ての姿勢について話しました。

 

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 今回、「私は普通の母親なので、人前でお話しすることはほとんどないのでちょっと緊張しています」と話し始めたMさん。大切なポイントを押さえた貴重な体験発表をしていただきました。改めて感謝いたします。

 

  なお、セミナーに参加された保護者は、埼玉県を中心に、東京都、神奈川県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、長野県、宮城県の1都8県に在住の方々でした。お子さんの年齢は、下が2歳、2歳6ヶ月、上は高校1年生という状況でした。

 

 今回の体験発表が何かの参考になったら幸いです。

 

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【参考 体験発表の流れ】

 

(1)現在の様子  穏やかな性格の中学2年生、定着した学習習慣と生活習慣

 

(2)幼児期の様子  発達上の課題(発語がなく、多動で少しもじっとしていられず、動物や色の区別もわからない)、幼稚園へは入園できず、3歳児健診で紹介された療育施設に通う(「話せないし伸びないから早くあきらめなさい。この子と会話することは一生ないでしょう」と言われる)、不安な状態でさまざまな方法を試行錯誤、発達専門病院で「自閉症」の診断(「ここにはもう来なくていいですよ」)、別の専門病院では「広汎性発達障害」という診断、本との出会いと最初の相談会での様子(「息子でも学べる力がある、できるようになることが必ずあるはずだ」との思いで3歳3ヶ月から学習開始)、エルベテークでの初期指導(目を見る練習・口の開け方の練習からスタート、数ヶ月後、50音出せなかったがなんとか発音できるようになった)、二語文・三語文へと発展

 

(3)学校生活  [小学校] 年長から幼稚園へ、そして就学、就学時健診の様子(教育委員会に呼び出されて特別支援学級を勧められるが、付き添いの条件で普通学級に入学)、学校(担任)との信頼関係(指示の出し方・接し方を自ら実践)、担任の理解と連携(「できないこともあるけれど、できることもたくさんある子だ」、「この子の成長を私が見届けたい」と小学3年まで3年間担任に)、クラス全体の支援員のような役割、家庭学習の進め方(予習がポイント、「子どもは家庭で成長する」) [中学校] 中学生になってからの様子(家庭学習の進め方、高校進学へ向けての決意)

 

(4)これまでを振り返って  なぜ乗り越えられたのか?(「なんとかしてあげたい」という、親として当たり前の気持ちが支え、苦労や逆境があったからこそ)、若い保護者の方に伝えたいこと(努力がすべて)

 

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【参考 アンケート】(全部で25通。その一部を原文のまま紹介します)

 

●保護者の体験発表についての感想-1「特にどの部分に共感されましたか?」の回答

 

・就学前の保護者の声

「「しません」「いいません」のくり返し(果てしない)それが実っている事がとても励みになりました」(5歳の保護者)

「保護者の取り組み、まわりの教師の協力がすばらしい例だと思う。繰り返し、練習等は非常に重要だと感じた」(6歳の保護者)

 

・小学生の保護者の声

「あきらめる事なく、学習習慣を身につけることによって子どもを伸ばしていかれ、またお母様も大きな努力をなさったことに感銘を受けました」(小学3年生の保護者)

「「このままではいけない」「なんとかしてあげたい」と言うお母様の熱意を強く感じました。時間をかけてでもひとつずつ教えていく根気強さとやるべきことはやらせないといけないという強い思いに感動しました」(小学3年生の保護者)

「幼児期のお話で“障害をあきらめるのではなく、学ぶ”機会を探していた、という部分。当時から努力と試行錯誤を重ね、ここまで成長して来られた姿に大変励まされました」(小学4年生の保護者)

 

・中学生の保護者の声

「学習を根気よく続けさせる」(中学1年生の保護者)

 

●保護者の体験発表についての感想-2「『子育てに役立ててみよう』と思ったことはなんですか?」の回答

 

・就学前の保護者の声

「家での「独り言」を止めさせるのは親の指導力による。指導したり、しなかったりが一番本人に良くないということ」(2歳の保護者)

「してはいけないことをしたときは目を見て「しません」と言うこと。今回のセミナーで言い続けていればいずれ伝わるということがわかりました」(4歳の保護者)

 

・小学生の保護者の声

「先生方との連携や、子どもに対してあきらめず取り組む親の姿勢が大切だと思いました」(小学3年生の保護者)

「「家庭学習と予習の大切さ」家庭で努力している姿をみせることで学校側の協力を得る事ができる。そのためにも家での学習が大切だと感じました」(小学3年生の保護者)

 

・中学生の保護者の声

「家庭学習をしっかり続けていくこと」(中学2年生の保護者)

「練習しなければできない。できなければ困るのは自分だということを認識させる」(中学3年生の保護者)

 

●保護者の体験発表についての感想-3「その他、今回の体験発表で感じたことをお書きください」の回答

 

・就学前の保護者の声

「非常に前向きな考えをもった方だと思いました。今まで色々なご苦労があったと思いますが、お手本にしていきたいと思いました」(4歳の保護者)

「生活習慣をきちんとすること、学習習慣をつけること。毎日の努力、つみ重ねが大きな力となること」(4歳の保護者)

「私も、来年、学校への付き添いを要請された時は、頑張ろうと思えました」(5歳の保護者)

「お話が具体的でとても分かりやすかったです。今回では伝えられないくらいのご苦労・努力があったかと思います。実際に子育てをされているご本人にお話をお伺いできて、自分がどうしていくべきか改めて認識できました」(6歳の保護者)

 

・小学生の保護者の声

「何とかしたいという親の志・責任と周りの方の協力、感謝、エルベテークの適切な助言、よりどころで、必ず道は開けると感じました」(小学4年生の保護者)

「親がくじけてはいけないと思いました」(小学5年生の保護者)

 

・中学生の保護者の声

「小学校1年生の付き添いは大変だったろうと思いますが、今振りかえってその時があったからこそ成長があったとはっきり言える点がすばらしいと思いました」(中学2年生の保護者)

 

●河野さんの解説についての感想

 

「知りたいこと、聞きたいことを掘り下げて聞いてくださり、とてもためになるセミナーでした」(4歳の保護者)

「言葉の補足がとても理解しやすく、大変参考になりました」(5歳の保護者)

「大変わかりやすかったです。発表者を上手く引き出して下さっていました」(小学4年生の保護者)

「その時その時のお子さんの様子や周りの状況が分かりやすくお話いただいてよかったです」(小学5年生の保護者)

「ソフトな口調でとても聞きやすく質問のサポートが適格でした。「家庭でできない事は外(社会)でもできない」「練習をしているから少しずつできるようになる」心に残るお言葉をいただき、ありがとうございました」(中学3年生の保護者)

 

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 次回第16回は、初めて埼玉県を離れ、大阪市で開催することが決まりました。

テーマは「発達障害への適切な対応を考える 母親・医師からの報告と提言」。新しいシリーズ名は[実例から知る、「発達の遅れ」が気になる子どもの教え方]になります。

プログラム構成はいままで通り、[保護者の体験発表+指導者の解説]の構成で進めます。講師のお一人には、第7回(2017年10月7日開催)で体験発表された、医師でもあるお母さまにお願いしました。青少年教育に詳しい教育者・研究者の講演も予定しています。

なお、今回の大阪開催にあたっては、大阪市に本社を置く(株)増進堂・受験研究社との共催、文部科学省、大阪府、大阪市、大阪市教育委員会の後援になります。

 

 

次回■第16回

 

・テーマ

「発達障害への適切な対応を考える(母親・医師からの報告と提言)」

 

・お話(体験発表) 高校1年生の母親(医師)

 

・進行と解説 河野俊一さん(エルベテーク代表/医療法人エルベ理事)

 

・感想と問題提起 吉田景一さん(甲子園短期大学幼児保育学科准教授/前大阪府立港高等学校校長)

 

・日時 6月22日(土) 18:30〜20:30(受付開始18:00〜、開場18:15〜)

 

・会場 大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)7階ホール(大阪市中央区大手前1-3-49 電話06-6910-8500)

 

・定員 500名(対象 保護者、学校関係者、医療関係者、市民など)

 

・参加費(資料代等) 1,000円(大人)、500円(学生)

 

・共催 (株)増進堂・受験研究社

 

・後援 文部科学省、大阪府、大阪市、大阪市教育委員会、埼玉県教育委員会

 

 (報告/2019年3月28日 知覧)

(撮影 知覧)